「えっ、サンジが女性を蹴った!?」ミス?それとも意図的?『ONE PIECE』読者が騒然「疑惑シーン」の数々の画像
DVD『ONE PIECE Log Collection“SANJI”』(エイベックス・ピクチャーズ) (C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 尾田栄一郎氏が手がける海洋冒険漫画『ONE PIECE(ワンピース)』(集英社)。1997年の連載開始以降、個性が光るバラエティに富んださまざまなキャラクターが登場した。

 長い物語の中では、そんな登場キャラの信念や過去の発言、あるいは作品全体の設定に関する矛盾点にも思えるシーンも存在した。

 そこで今回は登場人物や作品の世界観に関する設定と相反する描写があった「疑惑のシーン」を振り返りつつ、それに対する尾田先生の発言もまとめて紹介したい。

※本記事には作品の内容を含みます。

■死んでも女は蹴らないはずが…!?

 サンジといえば麦わらの一味のコックであり、無類の女好きとして知られている。そんな彼が、師匠のゼフに叩き込まれたのが「男は女を蹴っちゃならねェ」という教えだ。

 サンジはその教えを頑なに守り、「死んでも女は蹴らん」 という信念を貫いて、たとえ敵であろうと女性に攻撃を加えることはなかった。

 実際、エニエス・ロビー編では、敵対する女性諜報部員カリファに対しても一切攻撃を加えず、この姿勢こそがサンジのポリシーだと多くの読者が感心した。

 しかし、それから2年後のホールケーキアイランド編で状況が変わる。四皇のビッグ・マムと対峙したシーンで、サンジは彼女に向けて蹴り技を放ったように見えるシーンがあり、「信条に反しているのでは?」と読者のあいだで議論を呼んだ。

 だが、この疑惑のシーンについて、作者の尾田栄一郎氏は、コミックス94巻に収録されたSBSのコーナーで真実を明かしている。

 このサンジの姉レイジュを狙ったビッグ・マムの攻撃に対し、サンジはルフィとともにその一撃を受けとめただけであり、蹴りは攻撃ではなく防御行動だったと説明した。

 ビッグ・マムの攻撃は強烈なので、体を受けるだけでは止まらない。だからこそ、彼女のパンチの威力を相殺するために蹴りで受けたという。

 つまり尾田氏が意図したのはサンジの蹴りによる防御であり、「女性への暴力ではありません」と強調していた。

 振り返れば、カリファ戦でも蹴りを寸止めして攻撃を止める描写があり、防御や受け流しを意図した蹴りの動作まで禁じていたわけではなかったことが理解できる。

■悪魔の実の能力者のはずなのに「なぜ」?

 バロックワークスの幹部のひとり、Mr.3は、元王下七武海クロコダイルの配下であり、リトルガーデン編で初登場したキャラクターだ。「ドルドルの実」の能力者で、蝋を自在に操る技で巨人族のドリーとブロギー、さらに麦わらの一味を苦しめた。

 そしてアラバスタ編にて、Mr.3に関する疑惑のシーンが登場した。サンジに倒されたMr.3は水没しかけた部屋に取り残され、水面に浮かんでいるシーンが描かれた。

 しかし、この水に浮かんだMr.3は、悪魔の実の能力者は海に嫌われ、溺れて沈むという設定と矛盾する。

 これに対し多くの読者からツッコミの声が届いたようで、尾田栄一郎氏はSBSで、「偶然にもMr.3の体の下に“ものっすごい浮く木片”があったんですね。それによってMr.3はものっすごい浮いてたわけです」 と弁解した。

 要するに、能力者は「泳げない」「力が入らない」ので自力で泳いでの脱出は不可能だが、何らかの浮力体に乗っていれば水面にとどまるという理屈である。実際、物語序盤でルフィが樽に入って海上を漂流した例もあり、浮力ある物体の助けがあれば浮くのは理解できる。

 その尾田先生の苦しい言い訳に当時は笑ったものだが、実はその後もこの強引な設定が活かされている。物語が進んだ第66巻で、フランキーが「クウイゴス(反対から読むと“スゴイウク”)の木片で船体を浮かす」という説明をして、異常なほど浮力の高い木片が実際に存在することが明らかになったのである。

 結果的に、Mr.3の水面浮遊はこじつけのギャグで終わらず、作中の公式設定として回収されたかたちになる。こうした後づけのおもしろ設定が存在するのも、『ワンピース』ならではといえるだろう。

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