■気に入られていたのは血鬼術…ではなく高値で売れる壺の方!?

 上弦の伍・玉壺は壺の中に身を潜め、口や目が本来あるべき場所になく、体のいたるところから手が生えた異形の鬼だ。彼については、本編で無惨から気に入られている描写はなかったが、公式ファンブックによると、「わりとお気に入り」だったらしい。

 玉壺は自らを「至高の芸術家」と称し、人間を殺害した遺体を高尚な芸術作品だと豪語するなどかなり歪んではいるが、一般的な芸術的価値を持つ壺を作り上げる技術も持っている。

 無惨はその壺の美しさに魅力を感じていたらしく、彼を気に入っていた理由は「壺がなかなか綺麗。高く売れる。」というもの。つまり気に入ったのは玉壺の能力や出自・性格ではなく壺の価値にあったのだ。

 他の鬼が能力や出自などで気に入られている中、戦闘とは無関係の部分で評価されている玉壺は少しばかり異質である。とはいえ、「芸術家」である彼にとっては、この上なく嬉しいことだったに違いない。

■最強の鬼は無惨にとっても特別⁉唯一のビジネスパートナー

 精鋭揃いの十二鬼月の中で最も古株、そして無惨を除けば最強の鬼たる上弦の壱・黒死牟。彼は戦国時代に生まれ、その後も大正時代まで数百年間にわたり鬼の世界に君臨し続けた。元は鬼殺隊の剣士であり呼吸法の達人でもあったことから、その実力は圧倒的だ。

 公式ファンブックで無惨は黒死牟を唯一「ビジネスパートナー」と称している。黒死牟のほうも、鬼たちの思考を読んで支配する無惨を“感情を取り繕わなくてもいいので気が楽”と受け止めており、お互いの利害を理解し合う対等に近い関係性といえるだろう。

 無惨にとって黒死牟は気に入った・気に入らないという範疇を超えた、自身の成し遂げたい目標を達成するために欠かせない唯一無二の存在だといえる。

 

 無惨は「増やしたくもない同類」と言い切るなど、鬼を増やすのは不本意だと感じているようだが、そんな中でも出自や能力などさまざまな面で重宝され気に入られている者もいる。

 無惨に気に入られるかどうかは、そのまま十二鬼月内での地位や出世に直結すると言っても過言ではない。現在公開中の劇場版は、同じく彼のお気に入りである猗窩座との決戦が中心となっているため、ぜひそちらにも注目してもらいたい。

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