
吾峠呼世晴氏による漫画『鬼滅の刃』は、2019年のアニメ放送から知名度をぐっと上げ、今では大人から子どもまで注目する大ヒット作となった。現在も『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が大ヒット中で、大きな話題を呼んでいる。
そんな本作のラスボスである鬼の始祖、鬼舞辻無惨。相手が鬼だろうと人間だろうとかまわず横暴にふるまう傍若無人さが目立つが、そんな彼にもお気に入りと呼べる配下の鬼が複数人存在する。
今回は、自らを天災や神のように自負する無惨が特別にお気に入りとしていた鬼と、気に入っていた理由について振り返ってみよう。
※本記事には作品の内容を含みます
■超便利な血鬼術!無限城を作り出せる能力で一気に上弦に
鬼舞辻無惨の側近を務める女の鬼・鳴女は、長い黒髪で顔の半分を隠し、その下には不気味な1つ目を持つ。無駄な会話は一切せず、常に携えた琵琶をかき鳴らす姿が印象的だ。
彼女の血鬼術は、無惨の本拠地である異空間「無限城」を作り出し、自由自在に操れるというもの。名前通り無限に広がる迷宮のような空間で、主たる彼女は壁や通路の配置を瞬時に変更したり、襖を生成して任意の場所同士をつなげたりできる他、敵の足元に襖を作り出して任意の相手を自在に召喚するといった芸当も可能だ。
攻撃力こそ高くないが、空間そのものを操作する彼女の能力は戦闘を非常に厄介なものに変える。蛇柱の伊黒小芭内からは「煩わしさと厄介さは随一だな!!」と評されるほどで、最終決戦を困難なものにした大きな要因といえるだろう。
『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録』によれば、無惨は鳴女のこの能力を「便利であるためお気に入り」と高く評価しており、その存在価値の高さを認めている。作中でも「鳴女 お前は私が思った以上に成長した 素晴らしい」と直接称賛しており、彼女が無惨の信頼を得て重宝されていたことがうかがえる。
■下弦の中にもお気に入りはいる!無惨自ら励ましの言葉をかけた鬼
下弦の伍・累は、父・母・兄・姉とともに那田蜘蛛山に巣食っていた鬼で、竈門炭治郎が初めて遭遇した十二鬼月として知られ、精鋭としての実力を見せつける存在でもあった。
累は疑似家族という形態で鬼達を支配しており、それぞれの役割を演じる鬼たちに能力を与えつつ、自らの力でコントロールしていた。「姉」役の鬼はこれについて「累は あの方のお気に入りだったから そういうことも許されていた」と語っており、累が無惨に気に入られていたのは周知の事実のようだ。
累は人間だった頃は生まれつき体が弱く、それを哀れんだ無惨によって鬼に変えられている。累が自らの鬼化を喜ばない両親を殺害してしまった際、無惨がわざわざ「己の強さを誇れ」と励ますシーンがあることからも、何かと気にかけていたことがうかがえる。
姉役の回想で語られるように、累には要求や命令に従わない者にひどい仕打ちを加えるなど横暴な面があり、そうした残虐性や生まれつきの体の弱さは無惨と共通する要素が多い。無惨はそんな累に自分との共通点、もっと言えば資質のようなものを感じていたのかもしれない。