物欲を刺激しまくりの昭和「ラジコンカー」ブーム、土田晃之が憧れた「タミヤの最上位機種」とは【土田晃之の昭和カルチャー回顧録】の画像
土田晃之(撮影/小島マサヒロ)

 1980年代といえば、テレビ、アニメ、ゲーム、おもちゃなど、数々のブームが巻き起こったアツい時代。そんな熱狂の真っ只中を生きたのが、昭和47年(1972年)生まれの芸人・土田晃之。“華の47年組”の一人として、著書『僕たちが愛した昭和カルチャー回顧録』を上梓した彼が、子どもの頃に堪能した「昭和カルチャー」を独自の視点で語り尽くします!

■中1で沸騰!RCカー黄金期の記憶

 中1でハマったのが「RCカー(ラジコンカー)」。昭和60年前後が一番盛りあがった時期なんで、ドンピシャの世代ですね。

 ちょうどその頃、『タミヤRCカーグランプリ』(テレビ東京系/1984年10月~1999年3月)っていう番組が始まるんですよ。静岡市にあるタミヤのサーキット場でレースやるんですけど、これがまあ盛りあがって。

 RCカーの王道はやっぱり「タミヤ」。オフロードで走る一番安いのが「グラスホッパー」。確か当時は6800円じゃなかったかな?

 その1個上の機種が「ホーネット」(キット価格9800円)。タイヤのところに回転をよくするためにベアリングが入ってて、モーターも「グラスホッパー」が380モーターに対して、「ホーネット」は540モーター。上のクラスのモーターがついてる。「ホーネット」は中学生でも手が届く値段で、一番みんなが持ってたんじゃないかな。そこで、「グラスホッパー」持ってると、ちょっとナメられるんだけどね。

 タミヤの最上位機種は「ホットショット」(キット価格21800円)。これ持ってると超金持ちだったから。クラスにひとりだけいましたよ、持ってるやつが。「ええ、シンちゃんホットショット買ったの!?」ってちょっと羨ましがるっていう。

 サスペンションのところがほかの機種はたいていスプリングだけど、ホットショットは全部オイル使ってるオイルダンパー。それに負けないように、自分のRCカーを改造したりして。

■通はタミヤではなく“京商”へ?

 ほかにも「マイティフロッグ」(キット価格14800円)、「フォックス」(キット価格17800円)っていうのがあって、僕は「フォックス」を買おうとして、中1の時に塾に行ったフリをしながら、3カ月分の月謝貯めて買いました。それがあとでバレて、オヤジに引きずり回されるっていうのが中1の思い出ですね。

 RCカーっていうと王道は「タミヤ」だけど、でも通は「京商」を買うんです。京商のほうがエンジン系がいいから。タミヤはモーターで動くけど、京商のRCカーは小っちゃいエンジン積んでるから。本物志向の人からすれば、ラジコンでモーターは子どもだと。こっちはエンジン積んでるぞと。

 RCカーはそれまでのラジコンと違って操縦するのは「プロポ」っていう操縦機。それまでのラジコンは操縦機もセットで売ってたけど、RCカーのプロポは本体とは別売りで、プロポだけを買わないといけないんですよ。

 それでプロポにはバンドっていうのがついてて、1~6、A・Bだったかな? 同じ電波になっちゃうとグチャグチャになっちゃうから、みんなに聞いて「俺、1持ってる」って言うと、「じゃあ俺違うやつ買おう」とか。外でやる時も「あの人、何番使ってるんだろう」って見ながらやる。プロポのアンテナの先のところに小っちゃい鯉のぼりみたいな色の旗をつけて、その色見て「あいつ青だから6だな」とか。それがラジコンやる時の常識でRCカーのルール。

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