■最期は次世代に希望を託して…『NARUTO-ナルト-』うちはオビト
最後は岸本斉史氏による『NARUTOーナルトー』(集英社)のうちはオビトを紹介していこう。オビトは本作のラスボスと思われていたキャラで、「月の眼計画」に加担し自分の理想の世界を作ろうとしていた。
オビトは最初から悪役というわけではなかった。里同士の争いのせいで想い人・のはらリンを失い、闇落ちしてうちはマダラに従う道を選んでしまったのだ。そしてその思想のために、多くの人間の命を奪っていくことになる。
うずまきナルトたちはオビトに対抗するため忍連合軍を作り、真っ向から勝負した。その結果、オビトは十尾の力を失って敗北。その戦いの中でオビトは、ナルトの諦めない姿をかつての自分と重ねるようになっていく。そして、真の黒幕である大筒木カグヤが現れた時、ナルトたちのためにすべてを捨てる覚悟を決める。
ナルトやうちはサスケ、春野サクラ、そしてはたけカカシの盾となり、カグヤの「共殺の灰骨」を一身に食らったオビト。彼はナルトに向かって「お前は…必ず火影になれ」という言葉を残し、灰になって消えてしまった。
世界に絶望していたオビトが次世代へ希望を託したこのシーンには、思わず胸がアツくなってしまう。みんなが幸せに笑っていられる世界をナルトたちに作ってほしい……そんな気持ちが伝わってきた。
強い信念を持つ敵キャラは、自分なりの正義を貫こうとしている。そこには命をも差し出す覚悟があり、味方になってからも一貫して信念がブレていない。そのあまりにも純粋すぎる姿には心を打たれてしまう。