■“悪魔の実”は地上に生きる者たちから「奪う」ため?「デービー・ジョーンズ」
ついにその姿が明らかになった伝説の海賊「ロックス・D・ジーベック」。過去が絶賛深堀される中で、彼が「デービー・ジョーンズ」の崇拝者であるという情報が明かされた。
デービー・ジョーンズの名が作中で初めて紹介されたのは、フォクシー海賊団とおこなわれた「デービーバックファイト」の時だ。
ロビンによると、デービー・ジョーンズは悪魔に呪われ、今も深海で生きている海賊だと語られた。甲板長だった彼が海に沈んでくるものすべてを自分のものにしたという伝説から、敵から欲しいものを奪うことを「デービーバック」と呼ぶのだという。
そもそもデービー・ジョーンズとは、“海難事故にあった人々は海底の監獄に送られる”という船乗りの伝承に基づく存在であり、『ONE PIECE』以外の作品にも登場している。さまざまな逸話があるが、SBSでも彼がうそつきで強欲な呪われた海賊であることが解説されるとともに、作者である尾田栄一郎氏が(適当に)書いた絵が掲載されていた。
とはいえ、ここにきてロックスがデービー・ジョーンズの崇拝者であったという事実、ロビンが語った「深い海底に今も生きている」という言葉は、『ONE PIECE』の世界において非常に重要なポイントであるように思える。
悪魔の実を食べた者は「海」に嫌われるという事実。ベガパンクが明かした、世界が「海」に沈むという事実。『ONEPIECE』の物語を語るうえで切っても切り離せない「海」という場所には、読者の想像を遥かに超える謎が隠されていることは間違いないだろう。
呪われた海賊であるデービー・ジョーンズをロックスがなぜ崇拝しているのか、そしてどのような人物であるのか。謎多きそのデービー・ジョーンズの人物像が、連載中の過去編で明らかになる日も近いのかもしれない。
描写されているすべてのものに意味があると思わせるほど、巧妙に張り巡らされた『ONE PIECE』の伏線の数々。今回紹介した名前だけ登場する謎の人物たちにも、物語上何か重大な意味が込められていると考えずにはいられない。
本記事で述べたことはあくまでも筆者の考察の域を出ないが、読者の数だけ無数にあるこれらの考察こそ、“人が空想できる全ての出来事は起こりうる現実である”という言葉を体現しているのかもしれない。