約12年ぶり新作映画も公開、『魔法少女まどか☆マギカ』常識を覆した「悲惨さ」と少女たちの「残酷な運命」の画像
DVD『魔法少女まどか☆マギカ 1』(アニプレックス)  ©︎Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

 『魔法少女まどか☆マギカ』の新作映画『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』が、2026年2月に公開されることが決定した。

 『魔法少女まどか☆マギカ』は、2011年にオリジナルアニメとして放送されて以来、いまだに語り継がれる名作だ。その人気の理由は、これまでの魔法少女モノの「常識」を覆すストーリー展開にあるだろう。

 タイトルからは可愛らしくポップな作品に思えるが、蓋を開けてみれば無慈悲で残酷な展開が描かれ、トラウマシーンも数多い。そのギャップが視聴者に衝撃を与えたのだ。もちろん、悪と戦う魔法少女たちも悲惨な運命を辿っている。

 今回は、本作に登場する魔法少女たちがそれぞれどんな結末を迎えたのか、その悲惨さをあらためて振り返っていこう。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます

■あまりにショッキングな死亡シーン

 魔法少女の中でリーダー的な役割を果たしていた巴マミ。容姿端麗で頭脳明晰、華麗に戦って魔女を倒すところから、主人公の鹿目まどかや美樹さやかも彼女に尊敬の眼差しを向けていた。

 そんなマミは、これからもずっと“先輩”としてふたりを導く存在になるはずだと思われた……。しかし、3話でまさかの悲劇が起こる。いつものようにマミは魔女退治を試みた。相手はお菓子の魔女 シャルロッテで、可愛らしいマスコットのようなビジュアルからあまり強そうには見えない。

 この戦いの前、マミは自身の孤独な戦いについてまどかに吐露し、「マミさんはもうひとりぼっちなんかじゃないです」と言われて舞い上がっていた。本当は寂しいのに無理して強がっていたからこそ、これからはまどかが一緒に戦ってくれると聞いて嬉しかったのだ。魔女が現れる前、使い魔と戦っている間は絶好調で、「もう何も怖くない」と笑顔を浮かべる姿も印象的だった。

 しかし、シャルロッテは予想を裏切る強さの持ち主だった。マミの全力の攻撃にもまったく動じず、口の中から巨大な本体を飛び出させる。マミはその本体に頭を食いちぎられ、あっさり死んでしまう。

 この瞬間には視聴者の多くがショックを受けたはずだ。まさか、魔法少女がこんな凄惨な死に方をするとは思わなかっただろう。“魔法少女だから死なない”という先入観が打ち砕かれたマミの死亡シーンは、今でも衝撃のトラウマシーンとして語り継がれている。

■報われない結末

 まどかの親友であるさやかの最期も、救いようがなく心が痛くなるものだ。

 さやかは幼なじみの上条恭介にずっと恋をしていた。恭介はヴァイオリニストを目指していたが、事故で左手にケガを負い、夢を諦めて自暴自棄になっていた。

 そんな恭介の手を治すため、さやかは自らを犠牲にして魔法少女になった。すべては愛する人のため……だが、恭介のほうはそんな事情など知らない。奇跡で怪我が完治してラッキー、おまけに別の同級生と良い感じだ。

 魔法少女になると、魂は「ソウルジェム」と呼ばれる宝石として抜き取られ、肉体はただの抜け殻になってしまう。つまり、魔法少女とはゾンビや死人に近い存在なのだ。そんな自分はもう恭介と一緒にはいられないと、さやかは気付いてしまう。

 絶望を抱えながらさやかは、魔女を感情のままに倒していき、ソウルジェムはどんどん穢れて濁っていく。そして、穢れが満ちた時、さやかは魔法少女から魔女へと姿を変えてしまう。

 恭介の幸せを願っただけなのに、さやかは恭介に気づかれないまま闇落ちして退場してしまった。恭介を想う純粋な気持ちが大きかっただけに、あまりにも報われない、悲しすぎる結末だ。

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