■何もない地表で198年も一人きりの地獄…「震動駅」
「震動駅」というエピソードには、惑星の地表でたった1人で暮らす悲しい女性が登場する。
「振動惑星」にてホテルに泊まった鉄郎だが、同室者のいびきがあまりにもうるさく、列車で寝ようと部屋を抜け出す。すると何者かに殴られ気絶してしまい、気がつくと見知らぬ場所に放り出されていた。その時に出会ったのが、“首なしのレジスト”と名乗る機械化人である。
この星では、星の揺れが収まる静かな時間帯の外出が禁止されていた。それを知らずに破ってしまった鉄郎は危険分子とみなされ、地表に永久追放されてしまったのだ。レジストも同じく違反したことで、なんと198年もの長い間、一人で地表を彷徨っていたのだった。
レジストは星にたった一人で暮らしているわけではなく、いわば孤島のような場所に一人追放されてしまった立場だ。他人とはいっさいの関係を遮断され、何もない地表で198年も1人きりで生きるなんて絶望しかない。それでも淡々と過ごして来れたのは、やはりレジストが特殊な体を持つアンドロイドであることに他ならない。
しかし鉄郎がそこから脱出する際につい口にした「いつか助けにくるよ、気をおとさないで」の言葉に対し、レジストは「そんな約束はやたらにするもんじゃないよ!! 」と怒っており、再び一人になることへの葛藤を見せていた。
その後、鉄郎が乗る999号をじっと見送るレジスト。彼女に頭はないが、その全身からは言いようのない寂しさが滲み出ていた。なんとも胸が締め付けられるエピソードだった。
『銀河鉄道999』に登場する、「たった一人で暮らす孤独な住人」を紹介してきた。彼らの多くは望んで孤独になったのではなく、どちらかといえば運命によって一人になることを強いられた立場だ。それでも「賽の河原の開拓者」の権兵衛のように、仲間との良い思い出があれば一人でも強く生きていけるのかもしれない。
人は誰しも孤独と向き合う時が来る。今回のエピソードから私たちが学べることは多いだろう。