■伝説となった『柱稽古編』最終話「柱・結集」
『無限城編』で期待したいことの一つといえば、複雑な構造の無限城での戦いがどう描かれるかということだろう。先に公開された映像でも、穴が開いたり急に壁が現れたりと、まるで生き物のような動きをする予測不可能なフィールドが描かれていた。
漫画という表現だけでは描き切れない部分を、うまく映像化するのがアニメの醍醐味でもある。今回の無限城の表現も、そういった意味でファンが特に注目する部分だろう。
アニメ版ならでは表現にファンが驚いたといえば、2021年から放送された『遊郭編』もそうだ。
『遊郭編』では音柱の宇髄天元と炭治郎・善逸・伊之助の同期トリオが遊郭に潜入し、上弦の陸との戦いが繰り広げられる。
上弦の陸の一人である堕姫は自身の帯を使って戦うが、アニメではこの帯を使った戦闘の表現が、原作漫画をさらに凌駕するものだった。
思うがままに遊郭の町を破壊し、炭治郎にも目にも止まらぬ速さで攻撃を繰り出す堕姫の帯には臨場感がありつつも、その攻撃の速さや軌道の複雑さが分かりやすく表現され、それにより堕姫の残忍さが目立ったように思われる。
じっくりと刃を交えるというより、とにかく早さのある攻撃の応酬が印象的だった『遊郭編』。フィールドがさらに複雑な無限城での戦いにも、大いに期待したいところだ。
さて、無限城編に至るまで、もうひとつファンの中で伝説となった回があった。それが2024年放送の『柱稽古編』最終話「柱・結集」だ。
この回では、産屋敷邸が当主・産屋敷耀哉自らの手によって爆発されるシーンの映像が大きな話題になった。スローモーションで描かれたフルCGの映像は「実写では」と見紛うほどで、信じたくないことが起こってしまったというのが一目瞭然だ。すでに原作を読んで展開を知っているファンですら、爆発の規模の大きさとリアルさに驚いた様子だった。
無限城での戦いに続くこの回があったからこそ『無限城編』に心の底から期待ができると言っても過言ではないだろう。
劇場版「第一章 猗窩座再来」でも、きっと我々の想像の上をいく演出が展開されることは間違いないだろう。今はその作画の美麗さやカメラワークに期待をしつつ、改めて原作漫画を読み返し期待を高めるのもいいかもしれない。