
6月24日で最終回を迎えた『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』では、主人公機である「ジークアクス」と、その2号機にあたる「ジフレド」による兄弟機対決のシーンが描かれた。
共通する開発経緯や機体コンセプトを持ち、性能の近いモビルスーツ同士による、いわゆる兄弟機対決は、ガンダム作品において盛り上がる展開のひとつといえるだろう。
古くはOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』での「ガンダム試作1号機(ゼフィランサス)」と「ガンダム試作2号機(サイサリス)」の激突もあった。さまざまな経緯で敵味方に分かれることになった兄弟機が死闘を繰り広げ、相打ちになったシーンはファンの間でも語り草だ。
そこで今回は過去のガンダム作品で描かれた、白熱の兄弟機バトルについて振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■似ているようで違う? アナハイムが生み出した最新鋭マシン
劇場版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場した「Ξ(クスィー)ガンダム」と「ペーネロペー」。アナハイム・エレクトロニクス社が開発にかかわった「第5世代」と呼ばれるモビルスーツ(MS)で、両機ともにMS単独で大気圏内で高速飛行を行える「ミノフスキー・フライト・ユニット」を搭載した兄弟機である。
クスィーガンダムには反地球連邦組織「マフティー・ナビーユ・エリン」に所属するハサウェイ・ノアが搭乗。一方、ペーネロペーには地球連邦軍のレーン・エイムが搭乗した。
劇中ではその飛行特性を活かして、空中での高速戦闘を展開。劇場版『閃光のハサウェイ』の時点で2機の性能は拮抗していたが、若いテストパイロットのレーンと、実戦経験が豊富なハサウェイのあいだには実力差があった。
最後はハサウェイがしかけたビーム・ライフルを囮にする陽動策にまんまと引っかかり、クスィーガンダムのファンネルミサイルなどによる飽和攻撃を食らったペーネロペーが撃墜されている。
この2機は兄弟機ではあるが、ペーネロペーは「オデュッセウスガンダム」にフライトユニットを装着した状態を指し、ミノフスキー・フライト・ユニットを機体に内蔵するクスィーガンダムとはコンセプトが多少異なる。
書籍『モビルスーツ全集19 宇宙世紀のガンダムBOOK2』(双葉社)には、どちらの機体コンセプトが優れているのかアナハイム・エレクトロニクス社がひそかに実験していた可能性も示唆されていた。
そして2025年6月26日、劇場版第2作目となる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の特報映像が公開された。1作目ではクスィーに軍配が上がったが、続編ではペーネロペーの巻き返しがあるのか、次の戦いを期待せずにはいられない。
■「白き一角獣」と「黒き獅子」の因縁
OVA『機動戦士ガンダムUC』の主人公機「ユニコーンガンダム」と、「ユニコーンガンダム2号機 バンシィ」はともにUC計画の最終段階として開発された機体で、どちらも同じ形式番号「RX-0」を持つ。
両機はアナハイム・エレクトロニクス社で開発され、計画の出資元であるビスト財団の当主「カーディアス・ビスト」のもとにユニコーンがわたる。『機動戦士ガンダムUC』の物語の核となる「ラプラスの箱」の鍵としての役割を持たされたあと、カーディアスの息子である主人公「バナージ・リンクス」に託された。
一方、バンシィはカーディアスの妹「マーサ・ビスト・カーバイン」のもとへ。強化人間「プルトゥエルブ」として再調整されたマリーダ・クルスがパイロットを務め、「ラプラスの箱」の開放阻止のために投入された。
ラプラスの箱を巡り、ユニコーンとバンシィは幾度も激突。物語終盤には、バンシィのパイロットはマリーダからリディ・マーセナスになり、機体も「バンシィ・ノルン」へと改修された。そしてバナージが乗るユニコーンも、最終決戦時は「フルアーマー・ユニコーンガンダム」となる。
しかし、バナージは憎しみにとらわれるリディとは本気で戦おうとせず、敵ではないと説得を試みる。さらにマリーダの命を賭した行動により、ついに憎しみから解放されたリディは、バナージと共闘することを選んだ。
何度も戦った兄弟機同士が共闘するという胸アツの展開に盛り上がった視聴者は、筆者だけではないはずだ。