敵の機体を再利用…嫌がらせ?尊厳破壊?とんでもない魔改造も!?ガンダム作品における鹵獲機体たちの「その後」の画像
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』でシャアによって鹵獲されたガンダムの姿 「HG 1/144 赤いガンダム」(BANDAI SPIRITS)(C)創通・サンライズ

 「鹵獲(ろかく)」とは、敵対する組織が戦地などで相手方の兵器や物資などを奪う行為を指す。

 たとえば第二次世界大戦中には、大日本帝国海軍の主力戦闘機「零式艦上戦闘機」、いわゆる「ゼロ戦」がアクタン島に不時着。ほぼ無傷の状態でアメリカ軍に鹵獲され、対抗戦術の研究に利用されたという歴史がある。

 そしてフィクションの作品ではあるが、リアルな戦争が描かれた『ガンダム』シリーズにも鹵獲機体が存在する。OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』や、テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』といった映像作品には、鹵獲した機体のカラーリングを変更し、自軍で再利用するという描写があった。

 また、現在放送中のテレビアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』では、一年戦争においてアムロ・レイが乗るはずだった連邦の新型MS「ガンダム」を、ジオン軍のシャア・アズナブルが奪取し、自分の機体にするという展開が話題を呼んだ。

 そして、ときには鹵獲した陣営が奪取した機体に大幅な改修を施して、再利用するケースもある。そんな「魔改造」が行われた鹵獲機体たちの「その後の姿」を振り返ってみたい。

※本記事には作品の核心部分の内容を含みます。

■ジオンの象徴がまさかの姿に……

 太田垣康男氏が描くコミック『機動戦士ガンダム サンダーボルト』(小学館)は、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』(ファースト)の最終盤からその後の時間軸を描いた作品だが、あくまでも正史ではなくパラレル作品という扱いになっている。

 その作中で鹵獲されたのが、ジオン公国軍のニュータイプ専用モビルスーツ「ジオング」である。初代『ガンダム』ではシャア・アズナブルが搭乗し、アムロ・レイのガンダムと壮絶な相打ちを遂げたのは有名だ。

 『サンダーボルト』の作中では、未完成のジオングがジオン軍の要塞「ア・バオア・クー」に残されており、連邦軍はそれを鹵獲。独自に改造を施して「パーフェクト・ジオング」と名づけて再利用を図った。

 “パーフェクト”といっても脚部はなく、スカート部分の下に、脚のようにも見える3基の巨大なプロペラントタンク兼ブースターを装備。大量のミサイルを配備した武装コンテナやビームサーベルを持つための隠し腕、さらにIフィールドジェネレーターなどを備えていた。

 さらにジオンを象徴する「ジオング」という名称を残しながら、その胸部には地球連邦軍のエンブレムがつけられ、どことなくガンダムのトリコロールカラーをほうふつさせるカラーリングにされていたのも印象的。

 パイロットは主人公のひとりである「イオ・フレミング」と、射撃管制を担う強化人間の少女「リリー・シェリーナ」の2名。

 このパーフェクト・ジオングは連邦軍の切り札として、反連邦組織「南洋同盟」のサイコ・ザクや、もう一人の主人公「ダリル・ローレンツ」が乗る「パーフェクト・ガンダム」などと激闘を繰り広げた。

 さまざまな魔改造が施されたパーフェクト・ジオングではあるが、ジオングのニュータイプ専用インターフェース「サイコミュ」はブラックボックスとされ、連邦の整備兵から「何も触れられない」「正直ちょっと怖い」と言われていた。

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