■嫌がらせ目的で再利用された巨大モビルアーマー

 夏元雅人氏が手がけるコミック『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』(KADOKAWA)では、初代『ガンダム』で猛威をふるったジオンの巨大モビルアーマー「ビグ・ザム」が連邦軍に接収されている。

 連邦は一年戦争時に破壊したビグ・ザムを、ジオンの残党に対する皮肉の意味と、完全なる絶望を与えるために回収して修復。さまざまな部分が連邦仕様に改修され、ジオン機の特徴だったモノアイはジム系のものに変更されていた。

 そのビグ・ザムが新たに与えられた機体名は「ジービッグ・ザッム」である。

 劇中でジービッグ・ザッムはコンペイトウ(旧ソロモン)で行われる観艦式でお披露目される予定だったが、ジオン残党によって組織された「デラーズ・フリート」が強襲。迎撃のためにジービッグ・ザッムも出撃したが、アナベル・ガトーが乗るガンダム試作2号機の核攻撃によって破壊された。

 連邦により魔改造が施されたビグ・ザムを目撃したガトーは、「なんと醜悪な」「許しがたき所業」と吐き捨てている。

 ちなみに先述した『サンダーボルト』のほうでもビグ・ザムは鹵獲され、再利用されている。やはりそれだけインパクトのあるモビルアーマーだったということだろう。

■同士討ち回避の苦肉の策? ジオン仕様の荒々しいジム

 夏元雅人氏によるコミック『GUNDAM LEGACY(ガンダムレガシー)』(KADOKAWA)では、ジオンの残党によって鹵獲された連邦のジムが魔改造を施されている。

 鹵獲機のRGM-79・ジムをベースにした改良機は「ジム鹵獲仕様(レンチェフ仕様機)」と名づけられ、一年戦争時は「闇夜のフェンリル隊」の一員だったレンチェフ元少尉が搭乗。

 その見た目は基本的にはジムながら、肩部にはグフのショルダーアーマーがつけられ、グフのシールドを装備。胸部にジオンのエンブレムがつけられ、ビームサーベルではなく、巨大なマチェットのような形状の実体剣を所持していた。

 いかついショルダーアーマーを取りつけられた、どことなく禍々しい雰囲気のジムの姿からは、得も言われぬ迫力と荒々しさが感じられた。

 

 『ガンダム』シリーズの外伝コミックには、敵軍に鹵獲された機体が数多く登場する。敵の手にわたってしまった機体が再利用され、今度は戦うべき相手になってしまうシチュエーションは、戦争モノならではのドラマだ。

 アナベル・ガトーは「許しがたき所業」と怒りをみせていたが、許しがたい魔改造が施された鹵獲機体といえば何を思い浮かべるだろうか。

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