『いちご100%』『モンキーターン』…読者もハラハラした!漫画で描かれたまさかの「メインヒロイン交代劇」の画像
オリジナルDVDアニメ 『いちご100%-こころ変わりは突然に!?編-』©河下水希・集英社/いちご100%製作委員会

 漫画の展開は時に、読者の想定を大きく裏切ってくることもある。中でもラブコメ漫画では、メインヒロインが“交代”してしまうまさかの展開もあり、伝説的ラブコメ『いちご100%』はその代表格だ。

 当初ヒロインとして登場し、多くの読者が「きっと主人公と結ばれるのだろう」と思っていたキャラが、別のキャラにその立ち位置を奪われてしまう……。そんな“メインヒロイン交代劇”は、意外とこれまでさまざまな漫画で描かれてきた。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

■まさかの展開に驚かされた『いちご100%』

 河下水希氏による大人気ラブコメ『いちご100%』では、今でも語り継がれるヒロイン交代劇が繰り広げられた。

 主人公の真中淳平はある日、学校の屋上で「いちごパンツの美少女」に一目ぼれし、彼女を探し求める。その過程で、勘違いから学年ナンバー1のアイドル・西野つかさと付き合い始めるが、実は例の美少女の正体は地味なメガネっ子・東城綾だった……。

 物語のスタート地点では、真中と結ばれるであろうメインヒロイン=東城という認識をした人がほとんどだろう。真中にとって西野は高嶺の花で、話の合う東城の方が相性もよさそうだった。東城も真中を意識しており、2人が同じ高校に進み映像研究部に入った後は、一緒に過ごす時間も増えていく。 

 『いちご100%』というタイトルからも、いちごパンツの美少女・東城と結ばれるのが妥当と思える。しかし、真中と西野はくっついたり別れたりしつつ、分かちがたい絆で結ばれていた。

 実際、東城は高校時代に「中学のあの日から ずっとずっと…!!」と真中に告白をするも、謝罪とともにフラれてしまった。彼女の健気さ、一途さを知っているからこそ、ショックを受けた読者も多いだろう。最終的に、「真中くんを好きだったことも 結局想いは実らなかったことも 全部に感謝できるよ」と前に進もうとする彼女の姿にも、切ない気持ちにさせられたものだった。

 そして、真中たちが高校を卒業してから数年後を描く最終回。すっかりたくましくなった真中の前に現れたのは、ますます美しくなった西野だった。真中の「もう一度俺とつきあってくれますか」という言葉に西野が「もう一度あたしをワクワクさせてくれる……?」と答え、2人はめでたく結ばれる。

 このヒロイン交代はあまりにも衝撃的で、当時から波乱を呼んでいた。黒髪ロングでおっとりとした東城と、金髪ショートでサバサバとした西野。どちらもヒロインとして魅力的、かつ対照的な美少女だったからこそ、ファンの意見も割れたのだろう。

■同時交際の可能性も…『モンキーターン』

 河合克敏氏による競艇漫画『モンキーターン』。競艇の選手として成長していく主人公・波多野憲二には、家が隣同士の生方澄という幼なじみがおり、いつしか2人は恋人同士となる。澄はいつも憲二を見守り、陰ながら支えるしっかり者である。 

 しかし、そこに登場するのが競艇選手・青島優子だ。彼女は憲二と肩を並べてバリバリ活躍する姿を見せる、澄とはまた違った魅力の持ち主である。そして、この青島が憲二に想いを寄せたために、大きな混乱が巻き起こる。

 転機となったのは29巻。青島は澄という彼女がいるのを知りながら、我慢しきれず憲二に告白してしまうのだ。さらに驚いたことに、憲二はこの告白を受け入れる。少年漫画の主人公がまさかの同時交際を選びかけるという、めったに見られない展開だ。

 彼が「青島!」「オレもおまえが、好きだ!」と返す場面では、「澄はどうするんだ!?」と思わずツッコんでしまう。それ以前から、青島の存在感があまりにも大きすぎて澄の影が薄くなっており、「ヒロインはどっち?」と感じていた読者も多いはずだ。 

 最終巻の4コマ漫画では作者自身が青島好きを公言し、“青島のほうが描いていて楽しかった”ともぶっちゃけていた。それもあって、事実上のヒロイン交代のような状況になってしまったようだ。

 最終的には憲二は青島に別れを告げ、澄と結ばれているので、厳密には「ヒロイン交代」とはいえないかもしれない。しかし、『モンキーターン』といえばヒロイン論争と三角関係のイメージがあるほど、憲二と青島の関係性も強く印象に残っている。

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