「役柄の幅は、まさに七変化…」小泉今日子が80年代「キョンキョン主演映画」で魅せた“まぶしすぎるキュートさ” 『生徒諸君!』『ボクの女に手を出すな』『快盗ルビイ』…の画像
小泉今日子  写真/ふたまん+編集部

 小泉今日子さんと中井貴一がW主演を務める、ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)が話題だ。本作は人気シリーズの第3弾で、小泉さんは59歳のテレビ局敏腕ゼネラルプロデューサー・吉野千明を演じている。

 本作で小泉さんは白髪を目立たせ、スマホの画面が見えにくいなど、59歳女性のリアルな姿を熱演。そんな“等身大の女性像”がなんとも魅力的で、視聴者の共感を得ているのだ。

 思えば、小泉さんはこれまでも多くのドラマや映画に出演しており、その都度話題をさらってきた。とくに「キョンキョン」と呼ばれていたアイドル時代の小泉さんのすさまじい輝きは、昭和世代ならみんな知っていることだろう。キュートさや年相応の快活さ、はたまた大人っぽさ……そんなたくさんの魅力を持った小泉さんの姿は、当時多くの視聴者を虜にした。

 今回は、キョンキョンが特にまぶしかった80年代の主演映画を振り返り、彼女の可愛さをあらためて紐解いてみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます

■漫画キャラそのものが飛び出したようなキュートさ『生徒諸君!』

 1984年に公開された『生徒諸君!』は、庄司陽子さんの同名漫画を実写映画化した作品だ。本作で小泉さんは、明るく前向きに生きる主人公の少女・北城尚子こと“ナッキー”を演じている。

 物語はナッキーが瑞穂高校に転校してくることから始まる。学業も運動も万能であるナッキーは、登場当初から物怖じすることなく何にでも挑戦し、その明るい笑顔で誰とでも仲良くなっていく。

 そんな役柄はショートヘアの小泉さんにピッタリで、まるで漫画のナッキーがそのまま飛び出してきたようだった。また、学園ドラマである本作には多くの生徒たちが登場するのだが、今、見返してみると、その中でも小泉さんの顔がひときわ小さいことにも驚かされる。やはりアイドルとして生まれ持った素質に恵まれた人なのだろう。

 さて、本作が制作されたのは80年代ということもあって、最近ではあまり見かけないようなシーンもある。たとえば男性生徒2人がナッキーの前で殴り合いの喧嘩をするシーンがあるのだが、ナッキーはそれを見て“もっとやれ!”と言わんばかりに殴るジェスチャーをしたり、笑顔であおり、とても楽しそうなのだ。

 今ではなかなかない描写だが、なにしろキュートな小泉さんの笑顔で応援されたら、喧嘩だってつい張り切ってしまうかもしれない……!? 本作はそんな小泉さんの魅力がたっぷり詰まった青春映画であった。

■主題歌も大ヒット!大人っぽいキョンキョンの魅力『ボクの女に手を出すな』

 『ボクの女に手を出すな』は、1986年12月に公開された東映映画である。タイトルからして甘い恋愛ものの作品かと思いきや、本作は不良だった少女がとある少年の誘拐事件に巻き込まれ、警察や誘拐犯から逃亡し続けるというサスペンスストーリーだ。

 小泉さんが演じたのは、孤児院育ちでスリなどのさまざまな犯罪をしてきた少女・黒田ひとみ。先ほど紹介した『生徒諸君!』では、人を信じ明るく前向きに進む少女役を演じた小泉さんだったが、本作ではむしろ逆。自分に近づく人間はすべて疑ってかかるような影のある女性の役であった。

 多くの死者が出たりと、全体的にダークな雰囲気が印象が強い作品だが、それでも小泉さんの魅力は最大限に引き出されている。80年代に流行ったソバージュのヘアスタイルもマッチしており、「かわいい」から「美しい」へ印象も変化。スーツに身を包んでシリアスなセリフを口にする姿は、「キョンキョン」というより、すっかり大人の女性になっている。

 それまで天真爛漫なアイドルとしてのイメージも強かった小泉さんだが、この映画で体当たりの演技が評価され、女優としての存在感を見せつけた。また、本作で小泉さんが歌った哀愁漂う主題歌『木枯らしに抱かれて』も大ヒットし、アイドル好きのファンだけでなく、新たなファン層を掴んだ作品でもあった。

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