
『世界名作劇場』は、1980年代を中心にフジテレビ系列で放送されたアニメ番組だ。『フランダースの犬』や『あらいぐまラスカル』など、世界で古くから親しまれている児童書や童話をベースに作られており、全26作もの名作が生み出された。
そんな『世界名作劇場』には、容姿端麗かつ、明るい性格で人柄も良い「イケメンキャラ」がたびたび登場する。当時見ていた子どもたちは、こんな素敵な男の子がそばにいてくれたら……と、憧れたものだ。今回は『世界名作劇場』に登場した、印象深いイケメンキャラを紹介したい。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます
■あえていばらの道を選ぶプリンスに胸キュン『レ・ミゼラブル 少女コゼット』マリウス
2007年、52話に渡って放送された『レ・ミゼラブル 少女コゼット』。貧しさから母と別れた主人公・コゼットは、預けられた先で召使のようにこき使われ、つらい毎日を送っていた。
本作に登場するイケメンキャラは、のちにコゼットの恋人になる青年・マリウスである。
マリウスは、サラサラの栗毛色の髪、整った顔立ちをした美青年だ。もともと貴族の家に生まれ、家庭環境には恵まれていたが、祖父との思想の違いから家を飛び出し、自立の道を選ぶ。
貧しい生活の中で苦労しながら法律を学び、やがて祖国の自由を求めて反政府運動に身を投じるも、心の中ではコゼットへの想いを断ち切ることができず葛藤する……というキャラだ。
昔からカッコいいプリンスといえば、マリウスのような立場で描かれることが多かった。恵まれた地位を捨て弱きものを助ける立場となり、ヒロインと運命的な出会いを果たすも楽な道は選ばず、あえて困難な状況に身を投じていく。信念を貫き、あえていばらの道を突き進むマリウスは素敵だった。
作中、マリウスはコゼットをめぐって、その養父であるジャン・ヴァルジャンと対立するようなシーンもあった。過去に深い罪を背負いながらも、コゼットを守り育ててきたジャン・ヴァルジャンは、最終的には若きマリウスにコゼットを託す。守る者としての役割が、ヴァルジャンからマリウスへと静かに受け継がれていくシーンも本作の見どころである。
■ルックスだけではない…聖人君子のようだった『ロミオの青い空』アルフレド
1995年に33話に渡って放送された『ロミオの青い空』。主人公・ロミオは、家族を救うために自らの意思で煙突掃除夫として働く道を選び、過酷な日々を送る。多くの困難に直面しながらも、同じ境遇の仲間たちと同盟「黒い兄弟」を結成し、支え合いながら生きていく感動の物語だ。
本作屈指のイケメンキャラといえば、ロミオと固い友情を誓う12歳の少年・アルフレドだ。ロミオと同様に煙突掃除夫としてつらい毎日を送るが、決して弱音を吐かない。それどころか豊富な知識を武器に、何度もロミオのピンチを助けてくれるのだ。
それもそのはず、アルフレドはもともと貴族の生まれで教養があった。しかし一家の幸せを妬んだ叔父夫婦によって両親を殺害され、放火の汚名を着せられた挙げ句、煙突掃除夫となっていた。
このような絶望的な境遇に置かれてしまえば、人を信じられなくなり、悪事を重ねる人生へと転落してしまう人もいるだろう。しかしアルフレドは「今日っていう日は一生で一度しかない。落ち込んでたら損しちゃう」などと言い、ロミオを励ます。ルックスだけでなく、人間としても魅力的で、聖人君子のようなキャラであった。
作中、アルフレドは病気により命を落としてしまう。だが、最期まで自らの信念を貫き、どんな状況でも前を向く姿は多くの視聴者を虜にした。時代を超えて愛される、イケメンキャラとしていつまでも語り継がれるだろう。