
2025年3月に約1年ぶりとなる最新コミックス(14巻)が発売され、2026年1月にはアニメ第2期の放送が決定している人気作『葬送のフリーレン』(原作/山田鐘人さん、作画/アベツカサさん)。
魔王を倒し、世界を救った勇者たちのパーティにいたエルフ、フリーレンを中心に描かれた冒険ファンタジーで、物語もさることながら、登場するさまざまな魔法使いには魅力的なキャラクターも多い。
今回はそんな魔法使いの実力者のなかでも、限られた者にしか与えられない「一級魔法使い」の称号を手にした人物に焦点を当て、一級魔法使いの最強候補と考えられるキャラクターを振り返っていこう。
※本記事はテレビアニメ放送以降の内容についてのネタバレも含まれています。原作未読の方はご注意ください。
■人類最初の一級魔法使い・レルネン
レルネンは、大魔法使いとして知られるエルフ、ゼーリエの弟子のひとりにして、大陸魔法協会に所属する魔法使い。大陸魔法協会設立後に初めて認められた、最初の一級魔法使いでもある。
自身のことを「私は戦いしか知らない時代遅れの魔法使い」と語っており、その温厚そうな風貌とは裏腹に好戦的な性格を持ち合わせている。
コミックス9巻から始まる「黄金郷のマハト編」では、かつてフリーレンと相対し勝利を収めている魔王軍の幹部マハトに対し、黒い「ゾルトラーク(人を殺す魔法)」を連発するシーンが登場。これは通常のゾルトラークをもしのぐ威力を持ち合わせており、アニメ28話ではフリーレンの防御魔法を貫き、傷を負わせることにも成功した魔法だ。
また攻撃面だけでなく、一級魔法使い試験の二次試験に登場した「脱出用ゴーレム」を開発する力もあり、火力だけでなく魔法使いとしてのスキルもトップクラスといえる。
レルネンの恐ろしさが垣間見えたのは試験編での一幕。参加者であるフリーレンを見たレルネンは、彼女が魔力を制限していることを一目で看破。これは他の試験官や、断頭台のアウラをはじめとする魔王軍の幹部「七崩賢」でさえ見抜けなかったことで、気づいたのは魔王とレルネンだけである。
火力、技の多様さ、魔力探知など、現時点で登場する一級魔法使いの中でも群を抜いた実力者といえるだろう。
■冷静な観察眼と飽くなき執念・デンケン
デンケンは北側諸国の宮廷魔法使い。軍人から宮廷のトップにまで上り詰めた叩き上げの魔法使いであり、多くの政争を乗り越えた経験ゆえに、冷静沈着な判断力を持ち合わせている。アニメ1期でも描かれたが、一級魔法使い試験に合格しており、先に紹介したレルネンとは古くからの友人でもある。
竜巻を起こす魔法「ヴァルドゴーゼ」、風を業火に変える魔法「ダオスドルグ」、裁きの光を放つ魔法「カタストラーヴィア」など、ハイレベルな魔法を連発する戦い方を得意としているが、彼の最たる強みは戦況を冷静に分析する戦術眼にあるといえる。
たとえば一級魔法使い試験編では、フリーレンのパーティに対して力技で戦わず、同じパーティのラオフェンらの特性を理解したうえで、一時的ではあるが捕獲が合格条件となっていた「隕鉄鳥(シュティレ)」を奪うことに成功。二次試験では自分らと同じ能力を持つ複製体への対処法を指示することで足止めに成功するなど、集団戦における判断力と指揮能力は、長年の経験と豊富な知識によるものといえそうだ。
だが、そんな冷静さを持ち合わせるデンケンの真の魅力は「最後まで醜く足掻くんだ」という泥臭いまでの執念にある。アニメ勢なら魔法使いでありながら「殴り合いじゃぁぁぁぁッ!!!!」と己の拳で勝負を挑んだシーンが印象的だろう。
漫画の「黄金郷のマハト編」では、自身の師であり圧倒的な力の差があるはずの「七崩賢」のマハトに対し、亡き妻の言葉を胸に最後まで抗い続ける。その姿は決して華やかではなかったが、最後は長い人生で積み上げてきた研鑽が実を結び、師匠超えを果たすのである。
一級魔法使いのなかではかなり高齢だが、冷静さと情熱を兼ね備えたたしかな実力はいまだ健在である。