
今もなお新たな物語が展開され続けている、荒木飛呂彦さんの代表作『ジョジョの奇妙な冒険』。2020年より第4部に登場する人気キャラ・岸辺露伴を主人公に据えたスピンオフ作品『岸辺露伴は動かない』シリーズが実写ドラマ化されており、その高い完成度から多くのファンを唸らせている。
高橋一生さん演じる露伴のエキセントリックな活躍もさることながら、ドラマ版には原作ファンなら思わずぐっときてしまうさりげない小ネタが散りばめられているのも見どころだ。
そこで、原作を知っていると思わずニヤリとしてしまうこと間違いなしの小ネタの数々について見ていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■さりげない単語に潜む確かな原作愛…キーワード編
オリジナルの展開を交えながらも、漫画・小説版の描写を見事に再現しているドラマ版『岸辺露伴は動かない』だが、実はドラマのそこかしこに原作漫画『ジョジョの奇妙な冒険』にまつわるさまざまなキーワードが登場していることをご存じだろうか。
たとえば、肉体を鍛えることに憑りつかれた奇妙な男性・橋本陽馬にフォーカスを当てた第4話「ザ・ラン」のなかでは、ほんのわずかなシーンのなかにいくつもの遊び心溢れるキーワードが散りばめられていた。
まずは、彼のマンションを尋ねた配達員に思わぬ小ネタが。いわゆるチョイ役のモブキャラなのだが、なんとその帽子には原作『ジョジョ』に登場する「スピードワゴン(SPW)財団」を彷彿とさせる「SP&W」の文字が記されているのだ。
さらに、彼が届けようとしていた荷物には、現実に存在するファッション通販サイト『ZOZOTOWN』をモチーフとした「JOJOTOWN」の企業名が確認できる。
ほかにも、作中のキャラが調べ物をする検索サイト名が『Google』ならぬ「Joogle」だったりと、ほんのわずかなシーンにもかかわらず、原作漫画『ジョジョ』を想起させるキーワードが盛りだくさん。
これ以外にも、第3話「D.N.A」のなかでは、缶コーヒーの名前が「JOJOEA」になっていたりと、現実世界にある商品や企業名にうまく『ジョジョ』を融合しているのは、実に面白い点だろう。
どれも、注意していなければ思わず見逃してしまうようなものばかりだが、原作ファンならば見つけた瞬間、思わず誰かに言いたくなってしまう小ネタだろう。
■ドラマ版でも確かに感じる人気キャラたちの息吹…原作キャラ名編
なかには、漫画に登場したキャラクターの名前が、ドラマでズバリそのまま描かれていることもある。
それらが顕著なのが、第2話「くしゃがら」での一幕だ。こちらは小説のエピソードをベースとしていることから、ドラマ版で初めて映像化される描写が非常に多い。それゆえに仕込まれた小ネタの数も豊富なのだが、特筆すべきはそこに登場する数々の人物名だ。
たとえば、作中に登場する新聞の紙面のなかには、原作第4部に登場した殺人鬼・吉良吉影の名を確認することができる。なにやら事件の容疑者として逮捕されているようで、原作の展開との密接な繋がりが感じられる。
また、チラシの隅には原作に登場した噴上裕也をもじった「噴上探偵」の名があったり、配達されたピザの箱には、のちにドラマにも本人が登場する料理人、トニオ・トラサルディを彷彿とさせる「トニオピザ」の名があったりと、ドラマの舞台となっている第4部の人気キャラたちの息吹をそこかしこに感じることができる。
いずれのキャラも名前のみの登場ではあるが、凶悪犯、探偵、ピザ屋と、原作でのキャラクター特性を彷彿とさせる役割を与えられているのも、実に芸が細かい点といえるだろう。