■愁いを帯びた男女の壮絶な逃避行を描いたドラマ『青い鳥』

 ドラマ『青い鳥』は1997年10月よりTBS系列で放送された、駅員と人妻の壮大な逃避行を描いた作品だ。

 豊川悦司さん演じる田舎町の駅員・柴田理森は、ある日、田舎町には似つかわしくない美しい女性・町村かほり(夏川結衣さん)と出会う。彼女は娘を育てながら、夫・綿貫広務(佐野史郎さん)からの過剰な愛情や閉塞感のある生活に絶望を感じていた。そんななか、惹かれ合った2人が逃避行の旅に出る……というストーリーである。

 豊川さん演じる背の高いミステリアスな駅員は、その存在感だけで物語に深みを与えた。また夏川さん演じるかほりも神秘的な雰囲気を醸し出しており、逃避行という重苦しいテーマにピッタリだったように思う。

 また、かほりの夫役である佐野さんは、92年のドラマ『ずっとあなたが好きだった』で“冬彦さんブーム”を巻き起こして以来、“何をしでかすか分からない男”というイメージがあった。その期待に応えるかのように、このドラマでもことごとく2人の邪魔をする怪演っぷりが印象的だ。

 ちなみに本作の撮影は北海道から鹿児島までを縦断しており、非常に壮大なロケとなっている。前半・後半の2部構成となっており、美しい映像も見どころだ。逃避行の先には悲劇的な展開も待っているのだが、不幸だけでは終わらせない見ごたえのある作品であった。

 

 結婚生活を長く続けてみると、つい不満が募って「運命の人は別にいたのかも……」なんて考えてしまうこともあるだろう。今回紹介したドラマは、まさにそんな“誰か”の思いに寄り添い「やはり運命の人はあなただった」と不倫に走る展開が魅力的で、世間の興味を引いた。

 とはいえ、美しく描かれる不倫の世界はあくまでドラマの中の話。背徳の恋に身を委ねるのはドラマや映画に出演する俳優たちに任せ、私たちは現実の幸せを大切にしていきたいものである。

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