■食べたら最後…家族とは今生の別れ!?「家がだんだん遠くなる」
同じくてんとう虫コミックス14巻掲載の「家がだんだん遠くなる」も、恐ろしい話だ。
ある日のび太は、食べると二度と家に戻れなくなるひみつ道具「すて犬ダンゴ」を食べてしまう。家から出ないようにとドラえもんから言われて注意していたものの、ボールを追って外に出てしまったのび太。その後は道を尋ねて来た人と遠くに行ったり、おまわりさんに反対方向を教えられたりして、どんどん家から遠ざかってしまう。
のび太を探し奔走していたドラえもんがすぐ近くにたどり着くも、そのタイミングでのび太はマンホールに落ち、記憶を失ってしまう。最終的にのび太はのら犬が漁っていた食べ物を分けてもらって食べるが、気持ちが悪くなってすべて吐いてしまった。その結果、ダンゴも吐き出せたため、無事に家に戻ってこれたというエピソードである。
この話に登場する「すて犬ダンゴ」は恐ろしい。食べて家を出たら最後、二度と我が家には戻れなくなってしまうのだ。のび太は一度ドラえもんと再会できそうになったものの、マンホールに落ちて記憶までなくしている。これもこのひみつ道具の力だと思うと、本当に恐ろしい。
また、ドラえもんは途中でのび太の捜索を諦めており「さらばのび太」「きみとの楽しかった思い出をぼくはわすれない。いつまでもいつまでも……」と言い、潔く帰っているのもなんともシュールだ。これも「すて犬ダンゴ」の力なのだろうか……? ひみつ道具の恐ろしさだけではなく、このドラえもんの行動にもなんともいえない恐怖を感じてしまうエピソードだった。
このように『ドラえもん』のエピソードには、忘れられないトラウマ回が存在する。
ちなみに現代では、すでにひみつ道具と似たものが開発されている。たとえばスマホはひみつ道具の1つである「オコノミボックス」と、似たような機能を持つ。しかしスマホも使い方を誤れば情報が不適切に広まり、取り返しのつかない事態を招いてしまうだろう。
最新の道具というのは現代社会においても、予期せぬトラウマになるような出来事が生まれやすい。その影響力を確認しながら、便利な道具を使っていきたいものである。