■首を切断される日本人形が怖すぎ…「秘宝島殺人事件」8体の日本人形
金田一にとって、特に難解だった事件のひとつといえるのが「秘宝島殺人事件」ではないだろうか。母親にのせられて宝探しツアーに参加した金田一と美雪。悲報島では島のオーナーである美作氏の娘・美作碧と出会う。
財宝を探す者たちとともに島の屋敷に着いた金田一だが、ここで財宝のありかをしめす和歌が描かれた屏風と、8体の日本人形を見つける。日本人形の後ろには、気味の悪い半獣人の“山童”の像が置いてあった。
また、山童の口の中には日本人形の首が入っており、これがまた不吉である。そしてその直後、古時計から美作オーナーのバラバラ死体が出てくるのだった。
さらに翌日の朝食時に切断された日本人形が発見され、トレジャーハンター・柿本麻人の惨殺死体が見つかる。死体はバラバラに切断され、部屋中は血まみれ……とかなりショッキングな絵面である。
1体ずつなくなってはバラバラにされる日本人形が恐怖を演出する一方、死体をバラバラにするのは島に伝わる山童伝説になぞらえているだけでなく、死体を持ち運んだり殺害場所をごまかしたりするためだった。これを一人で計画・実行しただなんて、犯人は高遠に並ぶ天才犯罪者といえるだろう。
本作のラストは驚愕の展開で、金田一自身も「オレがこの事件の謎を解けたのは運が良かっただけさ」と剣持に語っている。つくづく犯人の頭のよさや行動力、精神力には驚かされた。
日本人形は表情が一定で少し微笑んでいるから、見ている側としては不気味だ。首を切断するなんて何かバチが当たりそうで怖いし、田舎の祖父母宅にあったケースに入っている日本人形を思い出してなかなか眠れなかったものである。
金田一シリーズにたびたび登場する「人形」たち、彼らの活躍(?)に注目して作品を見返してみるのもまた面白いかもしれない。