■ 山王戦で見せた“鉄拳制裁”と“男泣き”
湘北のインターハイ最大の山場である山王工業戦で、堀田はとくに熱い姿を見せていた。
後半に入ってまもなく、湘北は王者・山王に大量リードを許す展開となる。それを見て不良仲間であるメガネの高嶋が湘北の勝利を疑うような弱気な発言をすると、堀田は容赦なく拳で黙らせる。この試合はプレイごとに一喜一憂し、ときには涙ぐむなどとくに感傷的になっていた様子だった。
そして試合終盤、三井が4点分のビッグプレイを見せると「すげえよ 三っちゃんも…桜木も…涙が止まらねえよ……ぐひんっ」と男泣きをし、誰よりも三井の活躍を喜ぶ姿を見せた堀田。この“鉄拳制裁”と“男泣き”は、湘北のバスケ部、そして三井への本気の応援を物語っていた。
最終的に試合は、湘北勝利という世紀の大番狂わせで決着がつく。試合終了後の集合写真では「炎の男 三っちゃん」の旗を手に、最後列で満面の笑みを見せる堀田が非常に印象的であった。
■ アニメで追加された三井と堀田の会話シーン
堀田はこのようにバスケ部を熱心に応援はするものの、原作漫画では事件以降、三井と直接会話するシーンは描かれていない。しかし、アニメでは次のようなオリジナルシーンが追加されている。
アニメ第34話「ゴリ直伝・眼で殺せ!」にて。放課後、三井が部活に向かっていると「三っちゃん」と呼び止めるどこか気まずそうな堀田ら不良仲間。
「俺たちのダチだった三っちゃんがバスケで活躍しているとさあ なんかこう俺たちまで鼻が高いっていうか うれしいもんな ヘヘヘッ」と、よそよそしく言う堀田に対し、三井は少し笑みを見せ「バーカッ 今でもダチだろ」と言って立ち去っていく。
その言葉に驚く表情を見せる堀田。そして嬉しいような寂しいような、なんとも言えない表情を見せるのだった。三井との関係性と、堀田の複雑な心境が見え隠れする素敵なアニメオリジナルシーンだ。
三井寿を「三っちゃん」と呼び、慕い続けた堀田徳男は、ただの不良仲間にとどまらない存在であった。
堀田は三井のバスケへの情熱を理解し、バスケ部復帰の道を残した。その後、湘北を全力で応援し、三井の活躍を誰よりも喜んでいる姿も印象的である。
『SLAM DUNK』において堀田の生きざまは、友情の在り方をあらためて考えさせられるものであった。