■90年代を代表するトラウマ製造作品!?
トラウマ「シーン」というより、トラウマ「作品」と呼ぶべきなのか。数多くの衝撃シーンが描かれたのが、1995年から96年にかけて放映されたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』だ。ほかにも旧劇場版、新劇場版など、さまざまな派生作品があるが、今回はテレビアニメと劇場版から2つのシーンを紹介したい。
ひとつ目は、使徒にEVA参号機が乗っ取られたシーンから。使徒バルディエルは、起動実験中のエヴァ参号機を浸蝕し、制御を乗っ取って暴走。シンジの乗るEVA初号機と戦うことになる。
実はこのEVA参号機に搭乗していたのは、シンジの友人である鈴原トウジだった。シンジはそのことを知らなかったが、EVAを攻撃することを拒否。そのため碇ゲンドウは初号機のダミープラグを強制起動させ、強引にEVA参号機を破壊した。そのときトウジが閉じ込められていたエントリープラグを握りつぶすという凄惨な描写もある。
この一件でトウジの命は助かったものの左足を失った。なおコミック版ではトウジが死亡するという、より悲惨な内容になっている。
このエピソードはシンジの視点で描かれ、彼が苦悩する悲痛な様子が伝わってくる。しかし個人的には、このとき「トウジは何を思っていたのか」を想像するとよりツラくなる。
もしトウジに意識があったとしたら、初号機が暴走しているとは予想できなかっただろう。友人のシンジから攻撃されていると思ったのだろうか。テレビアニメではこのエピソード後のトウジの様子はわからないので、いろいろと考えさせられたシーンである。
ふたつ目は、旧劇場版の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』に描かれたEVA量産機とEVA弐号機の戦闘シーンだ。
この戦闘では、弐号機の活動限界間際にロンギヌスの槍が頭部に直撃して弐号機は停止。するとEVA量産機は、弐号機を文字通り「捕食する」という、とてもグロテスクなシーンが描かれた。
心が壊れかけたアスカが復活を遂げて無双した直後の出来事であり、まさかこれほどまでに容赦なくやられるとは思わなかった……。
過去の庵野作品のなかで、とくに印象に残っているシーンを挙げてみたが、もちろんこれはほんの一部にすぎない。それだけ多くの場面で、視聴者の心を揺さぶってきた証しといえるだろう。そんな庵野秀明氏が脚本として携わっている『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』はどのようなテレビアニメになるのか、こちらの続報も楽しみに待ちたい。