テレビアニメ版『ジークアクス』はどうなる? 歴代「庵野秀明作品」観る者の心を揺さぶった「戦慄のトラウマシーン」の画像
劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』キービジュアル (C) 創通・サンライズ

 テレビシリーズに先駆けて、劇場先行版が公開中の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』。その衝撃的な内容は、ファンのあいだで大きな反響を呼んでいる。

『ジークアクス』の製作発表時には、サンライズとスタジオカラーが共同制作することが話題となった。スタジオカラーといえば『エヴァンゲリオン』シリーズを手がけたアニメスタジオで、『ジークアクス』には庵野秀明氏も脚本として参加している。

 同作の監督は鶴巻和哉氏だが、庵野氏が携わるとなれば視聴者に強烈なトラウマを植えつけるような驚きの展開や描写もあるかもしれない。すでに公開されている劇場先行版で、その片鱗を感じとった人もいるのではないだろうか。

 そこで今回は、過去の庵野作品におけるトラウマシーンを集めてみた。当時大きな衝撃を受けたショッキングな描写の数々をあらためて振り返ってみよう。

※本記事には『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『エヴァンゲリオン』の核心部分の内容を含みます。

■自分だけが取り残される、想像を絶する孤独

 まずは1988年から89年にかけて製作されたOVA『トップをねらえ!』から。ロボットモノにスポ根や恋愛などの要素を取り入れた『トップをねらえ!』は、まるでおいしいものだけを詰め込んだお弁当のような作品だ。もちろん、いまだに高い人気を誇る名作である。

 その『トップ』には、さまざまな科学的な設定が取り入れられている。そのなかのひとつが「ウラシマ効果」と呼ばれる現象だ。

 平たく言うと「光速、または光速に近い速度で動く(もしくはブラックホール等の高重力下に置かれる)と、移動している側の時間の進みが静止している側に比べて遅くなる」という現象。もっとわかりやすく言い換えるなら「光速移動していた者だけ歳を取りづらい」ということだ。

 超光速万能大型変形合体マシン「ガンバスター」に乗って戦う、主人公のノリコとカズミの身にこの現象が起こる。自分は歳を取っていないのに、地球に帰ったときに同級生や周囲の人は老けている。もしもこの現象が自分の身に起こったとしたら、自分のことがバケモノのように感じてしまうかもしれない。

 そして人類存亡を賭けた最終決戦で、ノリコたちはブラックホール爆弾を起動し、宇宙怪獣を飲み込ませた。しかし、その爆弾を起動させたノリコとカズミはブラックホールに巻き込まれ、彼女たちが故郷の地球へとたどり着いたときには、すでに1万2千年が経過している。

 彼女たちが愛した知人・友人は、すでに誰も生き残ってはいないという、あまりにも残酷な事実。地球の表面には、彼女たちの帰還を歓迎する「オカエリナサイ」という地球からのメッセージが示されたことは救いではあるが、なんとも切なく衝撃を受けたラストである。

■響き渡る断末魔! 最期に漏らした本音が耳から離れない

 庵野作品のトラウマシーンといえば、1990年から91年にかけてNHKで放送されたテレビアニメ『ふしぎの海のナディア』も有名だ。

 第15話「ノーチラス最大の危機」で機関員のフェイトが壮絶な死を遂げる。フェイトはメインキャラクターではないが、多くの視聴者に衝撃を与えた人物として知られている。

 同エピソードの後半、ジャンやナディアたちの乗る万能潜水艦「ノーチラス号」が被弾したことにより艦内に有毒ガスが発生。このままでは艦全体に有毒ガスが広がって全滅するおそれがあり、ネモ船長は機関室で応急処置をしていたフェイトを残したまま隔壁を閉じることを決断する。

 有毒ガスによって死ぬことが確定したわけだが、フェイトはネモ船長の判断を「正しい」といい、機関室の前で取り乱すジャンを隔壁越しに説得する。

 ギリギリまでジャンやナディアのことを気遣っていたフェイトだが、迫りくる死の恐怖に耐えきれなくなって絶叫。「嫌だぁぁぁぁああ、俺はまだ死にたくない! 俺にはまだやりたいことが残っているんだぁ」という悲痛な断末魔が響き渡るのだ。

 今なら「ネモの判断」も理解できるが、子どもの頃に観たこのシーンはまさにトラウマだ。単に死を美化することなく、最後に死にゆく者が本音を吐露するという生々しい場面をきっちりとアニメで描写したことに、今さらながら驚かされる。

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