尾田栄一郎氏の描く海洋冒険漫画『ONE PIECE(ワンピース)』に登場する重要なアイテムのひとつが「悪魔の実」。食べた者に特殊な能力を与える不思議な実だ。
この実を食べた者は入手した能力を戦闘に用いることもあり、作中では能力を駆使するバラエティに富んだ戦闘シーンが描かれてきた。
そして、悪魔の実を食べた能力者の心身が、その実で得た能力に追いついたとき、その能力が「覚醒」を遂げることもあるのも特徴。覚醒した能力は汎用性が上がったり、効果範囲が広がったりと、さらに強化されていた。
作中ではドンキホーテ・ドフラミンゴを皮切りに、覚醒者がどんどん出てきたわけだが、まだ未覚醒の能力者のなかには、覚醒によって大化けしそうな能力を持つ人物もいる。
そこで今回は、現在のところそこまで強いわけではなさそうだが、能力が覚醒することで最強の存在になれそうな可能性を秘めた人物をピックアップしていこう。
■防御力は悪魔の実最強!? バルトロメオの「バリバリの実」
ドレスローザ編にて登場した、バルトクラブ海賊団の船長「バルトロメオ」が有する「バリバリの実」の能力。人差し指と中指を交差させて、自身の周囲にバリアを発生させられる。
このバリアの防御力は作中でも随一で、「当たりさえすれば海賊“四皇”さえ討ち沈める」といわれた、エリザベローII世の「キング・パンチ」を完全無傷で耐えきる場面もあった。
過去にこの能力者だった黒炭せみ丸は、光月おでんの攻撃をまったく通さなかったこともあり、その防御力は最強クラスといえるだろう。
そんな鉄壁の防御を誇るバリアだが、通常は1枚しか出せず、展開するバリアの面積にも限界がある。だが、この「バリバリの実」の能力が覚醒段階に至ったらどうなるだろうか。
ひとつ考えられるのは、バリアを複数枚展開することだ。一度に1枚しか出せないのが欠点ではあったが、覚醒によってこの制限がなくなるなら可能性は一気に広がる。
ただでさえ鉄壁の防御力を誇るバリアを自由自在に展開できるなら、防御だけでなく攻撃や移動にも活用できそうで、一気に汎用性は増すだろう。
これまで覚醒に至った能力者は覇気を十全に扱える猛者ばかりだが、今のところバルトロメオが覇気を使った描写は見当たらない。それどころか四皇のシャンクス率いる赤髪海賊団にちょっかいをかけて報復され、現在は生死不明だ。
姿を消したバルトロメオが復活したあと、「バリバリの実」の能力が覚醒に至ったら胸熱な展開になりそうなのだが、はたしてどうなるだろうか。
■最弱の四皇から最強の破壊力を持つ四皇に!? バギーの「バラバラの実」
ローグタウンにてルフィらと戦った、バギー海賊団の船長「道化のバギー」。ルフィに敗れて以降、大監獄インペルダウンに収監されていたが、監獄を脱走。王下七武海から、まさかの四皇にまでのぼりつめた意外すぎる人物だ。
元ロジャー海賊団という出自の良さと本人のカリスマ性、そして運の良さもあって現在の地位に至ったわけだが、ロジャーの船にいた頃に「バラバラの実」の能力者となっていた。
自分の体をバラバラに分解し、足が地面についている間は一定の距離まで空中を飛び回れる。またミホークに体を斬り刻まれたときも、みじん切りされたように見えて再生するなど、斬撃を用いる相手にはめっぽう強い。
しかし、足だけは飛べなかったり、刺突攻撃には弱かったりと、弱点も明らかになっている。そもそもバギー自身の戦闘力は決して高いとはいえず、彼が四皇の一角にいることに疑問を抱く読者も多いはず。だが、「バラバラの実」の能力が覚醒した場合は話が変わってくる。
超人(パラミシア)系の能力が覚醒した場合、ドフラミンゴやカタクリのケースから見て、周囲の物にまで影響を及ぼすことができそうだ。
これを「バラバラの実」に当てはめた場合どうなるかといえば、周りの物までバラバラに分離させ、脅威の破壊力を生み出す武器として活用できるかもしれない。
しかもバギーの能力にはもうひとつ、別の可能性も考えられる。インペルダウン編の第527話での能力解説の際、「バラバラの実」ではなく「“バラバラ”の能力解説」と書かれていた。ともに脱走したクロコダイルの能力解説には「“スナスナの実”」としっかり書かれていたにもかかわらずだ。
これはルフィが口にした悪魔の実にもうひとつの名前があったように、「バラバラの実」にも別の名前があるとするなら、この不自然な表記はミスではなく、伏線とも考えられる。
現状、四皇のなかでもっとも頼りないバギーではあるが、彼がとんでもない可能性を秘めているとすれば、おもしろい展開になりそうだ。