■ベジータや悟飯からもその動きや技は賞賛されている

 クリリンは味方のみならず敵からもその動きを賞賛されることが多い。

 まずは先ほど紹介した、ナッパとの戦いシーンにて。クリリンはナッパの横顔を蹴りつけたあげく、ナッパの攻撃から素早く身をかわしている。その様子を見たベジータは「動きだけはなかなかのものだ」と、クリリンの動きをほめている。

 またベジータとの戦いで死んだ仲間を生き返らせるため、悟飯とブルマの3人でナメック星に向かったクリリン。長い旅路のなか、宇宙船内で悟飯とイメージトレーニングをするのだが、悟飯は「クリリンさんの技の多さにはビックリしました!」と舌を巻いていた。

 さらにナメック星において最長老と会った際、最長老はクリリンに対し“あなたは地球人なのにとびぬけた力を持っている”と見染められ、眠っている力をさらに引き出してもらっている。

 そんなクリリンはのちに人造人間18号と結婚し、娘のマーロンの前で久しぶりに天下一武道会に出場する。“おとうさんだいじょうぶかなあ…”と心配するマーロンに対し、そばにいたヤムチャは「おとうさんは世界でいちばん強いんだ! 地球人の中じゃね…」とクリリンの強さを評価している。

 クリリンは『ドラゴンボール』では一応脇役の立場にあるが、このように多くの主要キャラからその強さを称賛される希有な存在なのだ。

 

 クリリンは戦闘力だけを見れば、悟空やべジータには到底かなわない。しかしクリリンはそんな彼らから立ち回りの良さや、気のコントロールのうまさをいつも称賛されている。そう考えるとクリリンは「強い戦士」というよりは「戦技に秀でている戦士」といえるのだろう。

 どの世界においてもただ強いだけでなく、戦術に長けている人物は必要だ。クリリンは『ドラゴンボール』において、まさに高い視座からさまざまなルートを見出せるキャラといえるだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3