あなたは『ドラゴンボール』(鳥山明さん)の登場人物、ヤジロベーを覚えているだろうか? 孫悟空少年時代のクライマックス「ピッコロ大魔王編」で突如現れ、独特の口調や丸めの体型で読者に強いインパクトを残し、いつの間にか出番がなくなってしまった、あのヤジロベーだ。
ヤジロベーは修行嫌いな性格がたたって戦闘力インフレに置いていかれてしまったが、登場したばかりのころはかなり強く、得体のしれない凄みすらあった。もし彼がまじめに修行していたら、今頃どうなっていたのだろう?
今回は、過去や素性など何かと謎が多いヤジロベーの活躍を今一度見返し、その可能性を追求してみたい。
■少年時代は悟空と同格? 絶望の象徴だった魔族を一刀両断!
ヤジロベーの初登場は「ピッコロ大魔王編」。まだ子どもだった悟空と遭遇し、互いのすれ違いから戦闘に突入する。天下一武道会で準優勝した悟空を相手に互角の戦いを繰り広げ、「こんな こたえねえやつ はじめてだ…」とまで言わしめた。
その直後、ピッコロ大魔王からドラゴンボール集めを命令された魔族・シンバルとの戦いにヤジロベーは挑む。魔族の強烈な攻撃を受けてもすぐ立ち上がったヤジロべーはその重そうな体からは想像できない俊敏な動きでシンバルに近づき、愛刀を一閃! 結果はシンバルの巨体を真っ二つにする圧勝だ。
この直前、はじめて登場した“魔族”はクリリンを殺したこともあり、恐るべき敵として絶望的な存在だった。その魔族を相手に、しかもあの悟空と戦った直後に倒してのけたヤジロベーは、この時点でトップクラスの猛者だったといえるだろう。
■悟空もひとりで登ったのに…悟空を背負ってカリン塔を完走
同じ「ピッコロ大魔王編」で、ヤジロベーはさらにものすごい身体能力を発揮する。
ピッコロ大魔王に完敗した悟空は武術の神・カリン様に会おうとするが、痛めつけられた体では天まで伸びるカリン塔は登れない。そこで悟空は、ヤジロベーに自分を背負ってカリン塔を登ってほしいとお願いする。
“カリン塔を登れば仙豆というご馳走にありつける”と教えられたヤジロベーは、文句を言いながらも悟空を背負いながらカリン塔を登り出す。悟空ですらひとりで丸一日かけて踏破したカリン塔を、だ。しかも背中の悟空を重いとは思っていないようで、かなり軽快によじ登っているのだからとんでもない。
結局、ヤジロベーは悟空とともにカリン塔を登り切り、カリン様から「こやつもとんでもないやつじゃな…」と称賛されている。厳しい修行を重ねてきた悟空と同じかそれ以上の馬力があると考えるとやはり才能は地球人随一、下手したらサイヤ人の悟空以上だったのではないだろうか?