■前半のクリスマスムードはなんだったのか『仮面ライダーエグゼイド』「狙われた白銀のXmas!」
2016年から2017年にかけて放送された『仮面ライダーエグゼイド』は、医療とテレビゲームの取り合わせで話題になった異色の平成ライダー作品だ。2016年12月25日に放送された「狙われた白銀のXmas!」は、前後編で話の雰囲気が大きく違うところが特徴的だった。
前半ではクリスマスらしく、仮面ライダーエグゼイドたちが特別なサンタフォームに変身。「ジングルベル」の歌を流しながら怪人・バグスターを倒す戦闘シーンはとても陽気で、クリスマスのお祝いにぴったりな短編に仕上がっていた。
だが、そんな楽しいクリスマスのムードは後半に一変する。人々を襲うバグスターの真相を探る仮面ライダーレーザー・九条貴利矢は、調査の末に仮面ライダーゲンム・檀黎斗が黒幕であること、そして主人公・宝生永夢に関する重大な秘密を掴む。
すべての謎を明らかにするため、永夢を呼び出す貴利矢。しかし、一足先に現れた仮面ライダーゲンムの新たな力である“デンジャラスゾンビ”の手にかかり、致命傷を負わされてしまうのだ。
永夢たちが現れた頃には時すでに遅し。貴利矢は最期の力を振り絞り、永夢にこう告げる。「お前の運命は、永夢、お前が変えろ」と。そして貴利矢は力尽き、その体は跡形もなく消滅するのであった……。
愉快な雰囲気の前半から、メインキャラが死亡する後半への急転直下が強烈なエピソードである。貴利矢は飄々とした態度と内に秘めたハートの熱さで人気が高く、そんな彼が12話という序盤で退場するインパクトも非常に強い。
ファンの間で「平成ライダーのクリスマス回は怖い」というイメージを決定づけたともいわれる、いわくつきのエピソードである。
平成『仮面ライダー』シリーズの衝撃的なクリスマス回を見てきた。街中がお祭りムードに包まれるクリスマスの時期に、いつも見ている『仮面ライダー』ではなぜか重くつらい話が放送される。そのギャップは、リアルタイムで目撃した視聴者の心に深く刻まれていることだろう。
はたして今後もクリスマスのジンクスは続いていくのか……ファンとして楽しみに視聴していきたいと思う。