1977年から連載がスタートした松本零士さんの『銀河鉄道999』。連載開始から47年の時が経ってなお、今でも世界中のファンから愛される言わずと知れた名作だ。原作漫画をはじめ、アニメで見たことがあるという人も多いだろう。
ところで『銀河鉄道999』は、主人公の星野鉄郎と、謎の美女・メーテルが冒険を終えて列車に戻る際、車掌が“急いでください、星が爆発します!”と告げるシーンがいくつか登場する。
その後、2人が999号に乗ったあとに星が爆発してしまうのだが、その爆発原因のいくつかはメーテルによるものではないかと思われる描写があるのをご存じだろうか。ここでは、メーテルが破壊した可能性のある星の数々を紹介したい。
■メーテルを守る何かの力が働いて爆破?「原始惑星の女王」
コミックス2巻に掲載されている「原始惑星の女王」で、鉄郎とメーテルは真っ二つに分かれている星「けんか別れ」に到着する。この星は自然派と科学派に分かれており、2人が降り立ったのは自然派の星だった。
そこで鉄郎とメーテルは自然派サイドの住人に襲われてさらわれる。メーテルは生贄になり、鉄郎も住人に首を締められ気を失ってしまう。
その後、鉄郎が目を覚ましたときには星全体が揺れていた。どうにか脱出したメーテルは「『けんか別れ』が爆発するのよ!! 内部の圧力が上がったわ、粉々に砕け散るわ」と言い、慌てて2人は999号に乗り込むのであった。
列車が発車してまもなく砕け散ってしまう「けんか別れ」。その星を見ながら鉄郎は「まるでメーテルを助けるように星が爆発した…… もしかして…… メーテルを守るなにかの力が働いて、爆発が起こったんじゃないのかな……」と、考察するのであった。
この爆発により鉄郎は、メーテルのこれまでの言動や行動、謎の影のような声を思い出し、彼女がいったい何者かを考える。だが、“たとえメーテルが魔女だろうとぼくはメーテルが好きだ”という結論に達するのであった。
「けんか別れ」はメーテルが最初に爆破に関与したと考えられる星だ。これをきっかけに、メーテルの謎めいた存在はさらに深まっていくのである。
■かたき討ちに来た星を頭脳連動で爆破「好奇心という名の星」
同じくコミック2巻に掲載されている「好奇心という名の星」でも、メーテルにより破壊された星が登場する。
本作で999号は、巨大な目玉のようなものを持つ「好奇心」という星と、それを追いかける月に追跡されることとなる。その後、鉄郎、メーテル、車掌は「好奇心」に捉えられ、裸になるよう命じられる。さらに「好奇心」は服を脱いだメーテルの体の中身に興味を持ち、車掌らにメーテルを解体するよう脅して苦しめるのだ。
あまりの暴挙に怒った鉄郎が機転を利かせてナイフで惑星の地面を切り裂くと、星は「ミナイデ ミナイデ、恥ズカシイ!! ミナイデクレッ!!」と、激しく抵抗する。その隙に、3人は999号に乗り込み脱出するのだが、その直後、「好奇心」は恥ずかしさのあまり自爆するのであった。
しかしその後、月が“親の仇だ!”と言わんばかりに999号に付いてくる。その様子を見たメーテルは「こんどは私がやる番ね!! 機関車のコンピュータを私の頭脳と連動させてみるわ」と言い、姿を消す。その後999号内には急に遠心力が掛かり、999号を追いかけていた月はもう1つの衛星へと突っ込み、両方の星は爆発して消滅するのであった。
自らの頭脳を使い、星を2つも消滅させてしまったメーテル。彼女には宇宙の法則をも変える力があることを考えると、ちょっと空恐ろしさも感じるエピソードだ。
2つの星の爆発を見ながら「あの親子は、一度火の玉になって元の自然の星にかえるほうがしあわせなのかもしれないわ」とつぶやくメーテルは、まるで宇宙を支配する母のような存在でもあるのだろう。