■抜群の戦闘センスを見せた伊之助

 最後の天才は、獣の呼吸の使い手・嘴平伊之助だ。

 山の中で猪に育てられ、アニメ「竈門炭治郎 立志編」のDVD・ブルーレイ特典のドラマCDによると、育手による修練を経ずに最終選別に参加したという経歴を持つ伊之助。炭治郎が鱗滝のもとで2年かけて得た戦闘技術を完全オリジナルで身に付け、独学で「獣の呼吸」という独自の呼吸を編み出したセンスも他に類を見ない。

 その獣の呼吸については、公式ファンブックでは「二刀流の素質、鋭い皮膚感覚、柔軟な関節、そして並外れた戦闘本能が必須であると見られる。生み出した嘴平隊士以外の会得は、困難かもしれない…」と記されるほどだ。ちなみに、炭治郎が習得に約1か月かかった「全集中・常中」も9日で身に付けている。

 伊之助には、同期の炭治郎と比べても抜群の戦闘センスがあるといえるだろう。刀鍛冶の鉄穴森が打ってくれた自分専用の刀の刃を、ノコギリのように石でわざと刃こぼれさせていたときには、鉄穴森もブチギレの様子だったが、それも自身の戦い方に合った形状にするためだった。「遊郭編」ではその刃で堕姫の首を見事に斬っていた。

 野生児であることが長所でもある反面、人間の心の機微にうとく、一度負けると凹んでしまうという心の弱さもある伊之助。彼がこのメンタルをカバーしもっと知的な戦いができたら、作中最強キャラになる可能性も大いにある。

『鬼滅の刃』の天才キャラの好感が持てるところは彼らがその才能をひけらかさないところにもある。その姿には思わず「頑張れ」と声をかけてしまいたくなる。

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