■ギャップがたまらない…『名探偵コナン』の小栗旬

『金田一少年の事件簿』と並ぶ推理漫画と言えば『名探偵コナン』だ。本作の映像化は、小学生が主人公というストーリーの特性上難しいと思われていたが、高校生探偵・工藤新一を主人公にしたオリジナルストーリーとして実写ドラマ化がされている。その作品が『名探偵コナン 工藤新一への挑戦状〜さよならまでの序章(プロローグ)〜』である。

 主人公の工藤新一を演じたのは、『花より男子』の花沢類役や『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』の佐野泉役などのイケメンキャラを演じたことで有名な小栗旬さん。彼は本作で工藤新一を演じるにあたって、「作品の世界を崩さないように、自分なりに新一を演じました」と誠実な姿勢を見せていた。

 小栗さん演じる新一は、とにかくかっこいい。キザでぶっきらぼうでありながら、蘭には一途という新一のキャラクター性をしっかりと演じていた。普通の高校生としての姿と、完璧な推理力を持つ高校生探偵としての姿のギャップも印象的だ。

 ドラマ第1弾『工藤新一への挑戦状』では『名探偵コナン』の前日譚が描かれ、コナンになる前の高校生時代の新一が活躍する。毛利蘭役を演じた黒川智花さんも原作のイメージにピッタリで、新一と蘭の関係性も見どころである。

 本作は原作ファンを喜ばせる要素も多い。蘭が新一に「遊園地行きたい!トロピカルランド!」と言うなど、漫画第1話につながるセリフがあったり、サッカーボールを使って爆弾を上空に蹴り上げたりと、「コナンっぽさ」があちこちに散りばめられている。

 また、思わず口をすべらせた犯人に対し「あなたいま、犯行を認めましたね」と自信たっぷりに言い放つシーンの小栗さんの演技は、新一そのものだった。

 さらに、ドラマ第2弾『名探偵コナン 工藤新一の復活!~黒の組織との対決(コンフロンティション)~』では、新一が一時的に元の姿に戻って黒の組織と対決するストーリーが展開された。このエピソードでは大人に戻った灰原哀(シェリーこと宮野志保)を香椎由宇さんが演じ、蘭と三角関係のような複雑な状況に陥るのにもハラハラさせられた。

 小栗さんの好演が話題を呼び、『名探偵コナン』の実写版はその後も制作された。その際にはキャストが一新され、溝端淳平さんが新一を、松坂桃李さんが服部平次を演じている。こちらの作品もイケメン俳優たちが探偵を演じている作品として見逃せない。

 

 推理漫画の実写化はセリフ量も多く、キャラクターを再現するのも難しい。そんな中でも『金田一少年の事件簿』の大成功によって、推理漫画の実写化ドラマは人気ジャンルとなったといえるだろう。今後もどんなイケメン名探偵が生まれるのか楽しみだ。

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