鳥山明さんによる『ドラゴンボール』(集英社)は、2024年秋からアニメ新作『ドラゴンボールDAIMA』が放送され大きな注目を集めた。連載終了してから30年近く経つのに、いまだに人気が衰えない超人気作だ。
そんな『ドラゴンボール』は、宇宙を巻き込んでの大バトルが魅力である。そこにはさまざまな設定があり、新キャラとの出会いによってスケールがどんどん大きくなっていく。
時には、会話の中で何気なく口にした「ささいなひとこと」が物語を大きく動かす場合もある。その中には、「あの時あのキャラがあんなことを話さなければ良かったのに」と思ってしまうものも……。
そこで今回は、うっかりと口を滑らせたせいで窮地に陥ってしまったキャラを振り返っていきたい。
■ドラゴンボールについて話したピッコロ
サイヤ人編は、『ドラゴンボール』の新たな切り口となったストーリーだといえるだろう。その重要な鍵となるのが、どんな願いも叶えられるドラゴンボールだ。
ラディッツが地球侵略のために登場したときには、悟空の兄だと自ら名乗り、皆を驚かせた。その後、悟空とピッコロが協力して彼と戦うのだが、あっという間に追い込まれてしまう。
その時、ラディッツを倒すためピッコロが披露したのが、魔貫光殺砲だった。しかしその渾身の一撃は外れてしまい、一同は再び大ピンチに。そこで悟空はラディッツの動きを封じるため羽交い締めにし、そのまま魔貫光殺砲を一緒に食らうことになる。
それによって悟空とラディッツは虫の息……。しかし、ピッコロはラディッツに向かって意気揚々と、“悟空はドラゴンボールですぐ生き返ることができる”と話してしまう。
それをスカウター越しに聞いていたのが、ラディッツの仲間であるナッパとベジータだ。通信によってすべてを知ったふたりは、この1年後、地球に襲来したのである。
もし、この時にピッコロが余計なことを言わず黙っていたとしたら、ベジータたちは地球にやってこなかったかもしれない。その場合、ヤムチャ、餃子、天津飯、ピッコロが死なずにすんだ。
また、フリーザとも関わる展開もなくなり、さまざまな戦士の細胞を集めていたセルもあそこまで強くならなかっただろう。すべてはベジータ襲来がきっかけだと考えると、ピッコロがうっかり口を滑らせた罪は重い……。
■ナメック星人について語ったベジータ
ドラゴンボールについてうっかり発言をしたのは、ピッコロだけではない。ベジータも同様に口を滑らせていた。
ベジータはピッコロを見てすぐにナメック星人だと気付く。さらに、ナメック星人は不思議な力を持っているので、ドラゴンボールのようなものが作れてもおかしくないと続けた。
そのため、ベジータは“地球がダメでもナメック星に行けばドラゴンボールがあるはずだ”と語っていた。
そして、この会話をスカウター越しに聞いていた人物がフリーザである。彼はドラゴンボールの話を聞いたからこそナメック星へと向かったのだ。そこからナメック星でのドラゴンボールをめぐる戦いが始まってしまう。
フリーザがベジータの会話を聞いていなかったらどうなっていたのか……? 恐らく、ベジータは地球を去った後、ひとりでナメック星へ行けただろう。それに悟空たちもベジータの発言がなければナメック星に向かうことはなかったかもしれない。とすれば、ベジータは楽にドラゴンボールを手に入れられたはずだ。
そう考えると、ベジータはうっかり口を滑らせたせいで自分の首を絞めている。