「今読んでも怖すぎる…」もはやホラー『名探偵コナン』初期の「伝説のトラウマ回」の画像
少年サンデーコミックス『名探偵コナン』第10巻(小学館)

 ミステリー漫画の金字塔『名探偵コナン』は、幅広い年代に愛されている作品だ。しかし、殺人事件を扱っているという性質上、時おり身の毛がよだつような「トラウマ回」が生み出されることもある。

 中には、小学生の時に見た回を「今でもよく覚えている」という人もいるだろう。そこで今回は、『名探偵コナン』の数あるトラウマ回の中でも特に「伝説級」とされているものを改めて振り返ってみよう。

■館長がトラウマになった「図書館殺人事件」

 本作屈指のトラウマ回として必ず挙げられるといってもいいのが、コミックス10巻収録の「図書館殺人事件」だ。この回は犯人である津川館長の表情、行動、豹変ぶりが見どころで、あまりの恐怖で「史上最恐エピソード」との呼び声も高い。

 ある日、米花図書館に行った少年探偵団。そこである館員が行方不明になっていると聞き、コナンは事件解決に乗り出す。その後、夜の図書館に忍び込んだコナンと少年探偵団だったが、津川館長が館員の行方不明に関わっているらしいと知ってしまう。

 津川館長はこの館員を殺しているのだが、警察を完全に欺いたと思っていた。しかし帰宅しようとした時、誰かが図書館に忍び込んでいると知り、表情が一変。彼は図書館に戻り、真相に近づこうとする子どもたちを真っ暗な図書館の中で消してしまおうと考える……。

 津川館長の怖いポイントは、やはりなんといっても豹変する表情。壁や階段の手すりからコナンたちを「ヌッ」と覗く表情は、ネットミームとしても使用されるほど有名だ。無表情でありながら、その奥にある殺意が透けて見える独特の表情を見せている。影がしっかりと入っているところもホラー感があってとても恐ろしい。

 実は津川館長は麻薬の密売をしていて、それを知ってしまった館員を口封じのため殺害と、まさに凶悪犯だった。しかし、そんなことよりも「夜の図書館」というシチュエーション、そして館長の表情が怖すぎて、そのインパクトが子どもたちに何よりの衝撃を残したのだ。

■犯人の行動が怖すぎた「山荘包帯男殺人事件」

 犯人の行動が怖すぎると話題の「山荘包帯男殺人事件」(コミックス5巻収録)。この事件はおなじみのキャラクター・鈴木園子の原作での初登場エピソードでもある。このエピソードは作中随一の猟奇的な犯行であり、その残虐性はいまだに語り継がれている。

 このエピソードでは、コナンと蘭が園子の招待を受け、鈴木家の別荘である山荘を訪れる。そこでは園子の姉・綾子の映研仲間の同窓会も行われていた。不気味なのは、蘭とコナンが山荘にたどり着く前、包帯でぐるぐる巻きの男が登場することだ。おまけに夜中になると、その「包帯男」にサークルメンバーの池田知佳子がさらわれてしまう。

 コナンたちは包帯男と、その黒いマントから出ている知佳子の頭を窓越しに目撃。その後ふたりの姿は消え、森の中で知佳子の遺体だけが発見される。遺体はバラバラにされていて、その時点でかなりショッキングな描写だった。しかし、この事件が語り継がれているのは、そこに至る過程も特異だからだ。

 実は窓越しに目撃されていた時点で、すでに知佳子はバラバラにされていた。首だけの知佳子をマントを使って体とつながっているように見せかけ、死亡時刻を誤認させたのである。

 さらに犯人である高橋良一は、サークルメンバーとともに森の中を捜索していた時、ずっと服の中に知佳子の首を隠し持っていた。そんな恐ろしいものを肌身離さず持ち歩いていたわけだが、まったくそれを表情に出さず周りに悟らせなかったのだ……。

 あまりにも恐ろしい犯行の手口で、先に紹介した津川館長のように直接的な恐怖ではないが、淡々と殺人とアリバイ作りを行っているのが恐ろしすぎた。

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