『クレヨンしんちゃん』ファンと市民に愛された「ゆかりの地」に幕…しんちゃんと「イトーヨーカドー春日部店」の幸せな関係の画像
臼井儀人&UYスタジオから寄贈された直筆の『クレヨンしんちゃん』サイン色紙
全ての写真を見る

 2024年11月24日、「イトーヨーカドー春日部店」が閉店する。現在の場所に移転オープンしてから27年、旧店舗と合わせれば実に52年間もの長きにわたって、春日部の人たちに親しまれてたお店だが、『クレヨンしんちゃん』ファンにとっても、この知らせは大きなショックだった。なぜなら『クレヨンしんちゃん』とイトーヨーカドー春日部店には深いつながりがあり、ファンにとっては“ゆかりの地”ともいえる場所だったからだ。

 というのも、漫画『クレヨンしんちゃん』本編には、「イトーヨーカドー」をモチーフにした「サトーココノカドー」という店舗が何度も登場。しかも初登場したのは、なんと第1巻というからその歴史にも驚くばかり。「イトーヨーカドー」のロゴに描かれている「ハト」のマークは、「コウモリ」に変わっていてインパクトは絶大だった。

 ちなみに初登場時のエピソードでは、サトーココノカドーでしんのすけがみさえに花火をおねだりして、みさえを困らせていた。

■サトーココノカドーを代表する名物店員たち

 その後も、サトーココノカドーは漫画内にたびたび登場。個性たっぷりの店員たちが、野原一家を惑わせる展開でもおなじみだ。

 なかでも忘れがたいのが試食販売員たち。五感を刺激しつつ、相手に警戒心を抱かせないトークで接客をする「食わせのおみね」こと大利根川みね子(47)など、試食コーナーにはやり手のベテランが配置されていた。

 さらに、閉店30分前には七色の割引シールを自由に操る、自称二枚目店員の丸山文男(31)が食品売り場に出現。丸山が大事な割引シールの束を落としてしまい、それをしんのすけに拾われて騒動に巻き込まれることもあった。

 また、紳士服売り場には『必殺仕事人』のテーマに乗って現れる「メジャーのヨーコ」が登場。巻尺で一瞬にして相手のサイズを測る特技を披露する。ときには、しんのすけのイタズラによって、ひろしの“マンモス”のサイズまで測らされてしまう場面も……。参考までに、ひろしの平常時のマンモスのサイズは8センチである。

 ほかにも「アクションデパート」の迷子センターで働いていた越谷順子と、その上司がサトーココノカドーに移って働いていたこともあった。

■劇場作品にも描かれたサトーココノカドー

 サトーココノカドーは、もちろんアニメ版にも登場しており、映画シリーズにまで進出。第9作『嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』では、古きよき20世紀の復活をもくろむ秘密結社「イエスタディ・ワンスモア」の計画によって、大人たちが郷愁に満ちた世界に囚われることに。そのとき、残されたしんのすけたち「カスカベ防衛隊」は、サトーココノカドーで一夜を明かしている。

 また、第17作『オタケベ! カスカベ野生王国』では、「人間動物化計画」を推進する過激エコ組織「SKBE」によって、春日部の人々が動物化。その様子をレポーターの団羅座也がテレビを通じて伝える際、背後にチラッとサトーココノカドーが映ったこともあった。

 そして、とくに印象深いのが第28作『激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』だ。この作品では、空に浮かぶ王国「ラクガキングダム」が、ラクガキのエネルギー不足によって滅亡の危機に瀕してしまう。

 このピンチを乗り切るべく、王国の防衛大臣が子どもたちに無理やりラクガキをさせてパワーを集める「ウキウキカキカキ作戦」を敢行。春日部に侵略してきた際、たまたまサトーココノカドーで買い物をしていたみさえとひまわりが捕らえられてしまった。

 そのうえ、みさえは被写体を紙や壁に貼りつけてしまう「ミラクルカメラ」によって、ココノカドー店内の壁に貼られ、酔っぱらって春日部に帰ってきたひろしも囚われの身に……。物語の終盤には、捕まった春日部の人々を助けるため、カスカベ防衛隊がラクガキングダムの兵士たちと激しくもおバカな攻防を繰り広げる内容だった。

  1. 1
  2. 2