10月11日より放送が始まった、鳥山明さんの待望の新作アニメ『ドラゴンボールDAIMA』。主人公・孫悟空をはじめ、人気キャラたちが子どもの姿になって活躍しており、往年のファンも胸を躍らせていることだろう。
さて、そんな『ドラゴンボール』では当初は敵キャラとして登場したものの改心し、仲間になったキャラクターが多くいる。なかでももともと悪の塊だったようなピッコロにおいては、神様と融合してからはもはや人格者のようだ。
いつでも冷静でクールなピッコロだが、ときに「確かに」と思わず納得してしまうような正論を放つシーンが多く見受けられる。今回は悟空をも黙らせた、ピッコロが発した“ド正論”を振り返っていこう。
■指導者としては抜群? 悟空の本質を見抜いていた
第23回天下一武道会で悟空に敗れ、再戦の機会をうかがっていたピッコロ(マジュニア)。だが、そこへ悟空の兄・ラディッツが襲来。サイヤ人の強さを知ったピッコロは、宿敵であるはずの悟空とタッグを組み、ラディッツを撃破した。
しかし、今際の際のラディッツから1年後により強いサイヤ人(ベジータとナッパ)が襲来すると聞き、ピッコロは悟空の息子・孫悟飯を拉致。強力な戦力になるように鍛え上げることにするのである。
目が覚めると知らない土地でピッコロと二人きり。恐怖で泣きじゃくる4歳の悟飯だったが、ここで自身の秘めたる力に気づくこととなる。
事の顛末を聞き、嫌々ながらも修行をすることにした悟飯。だが、厳しすぎるピッコロの言動に、“修行してもらうなら父がいい”とおそるおそる言うと、ピッコロは「あいつは確かに強いが 師匠にはまるでむいていない」「人に対するきびしさがまったくない あまったれたおまえをみていれば よくわかる……」と、言い放つのだ。
4歳の未就学児相手にひどい言いぐさだが、確かに言う通りである。悟空は自身には厳しくとも、人に対して厳しいところはほとんどない。心も体もたくましく、しかも急激に強く成長させるなら、ある程度の厳しさが必要だったのだ。
事実、このピッコロの厳しい修行に耐え抜いた悟飯は圧倒的に強くなり、サイヤ人襲来時やナメック星でも大いに活躍することとなる。さらにピッコロ自身も身を挺して悟飯を守るなど、精神的な成長を遂げることにつながっていった。
それにしても、悟飯の修行にピッコロを使うなんて、まったく思いもよらない展開で驚いたものだった。
■悟飯の気持ちを理解…悟空にも響いたド正論
ピッコロが悟空をも黙らせたド正論シーンがある。それが「人造人間・セル編」でのことだ。
人造人間たちを吸収し完全体となったセルは、地球の代表者とセルが戦う「セルゲーム」を開催。さらに、誰も自分を倒せなかったら地球を滅亡させるという。それに備え、“精神と時の部屋”で修行した悟空と悟飯。その際、悟空は悟飯が自分の力を超えたことを確信した。
そして、セルゲームがはじまった。悟空が先に戦うもセルに及ばず早々に降参、悟飯を代表者として送り出す。
悟飯の“怒りのパワー”を引き出せばセルに勝てると踏んだ悟空の思惑だったが、当の悟飯は“戦ったりするのは好きじゃない”と、一方的にやられるまま。強敵を求めるセルは何としても怒らせようと悟飯を痛めつけ、覚醒させようとする。
なかなか真の力が解放されない悟飯に焦る悟空だったが、ここでその考え方は間違っていると諭したのがピッコロだった。
悟飯は戦いが好きではないこと、ちゃんと話し合ったうえでの作戦なのかと問い、「…今 悟飯がなにを思っているか わかるか!?」「怒りなんかじゃない!! なぜ おとうさんは ボクが こんなに 苦しんで死にそうなのに助けてくれないんだろう…」と、悟飯の想いを代弁するかのように伝える。
“誰より実力はあっても悟飯はまだ子どもだ”と諭すピッコロに、悟空もハッとした様子で半ば放心状態になっていた。
いやはや、ピッコロのほうが悟飯をよく理解していたと言えるだろう。さらに「やられてもいい! オレはいくぞ」と、悟飯のため死すらいとわぬ覚悟でセルに立ち向かおうとマントを脱ぐピッコロはカッコ良かった。もはや悟空以上に父親のように思えたのは、筆者だけではないだろう。