ルナタンクにブラレロ、ジムジャグラーって知ってる? 『ガンダム』一年戦争時に生まれた「奇抜すぎるマイナー機」の画像
万乗大智先生が描くモビルアーマー「ブラレロ」の雄姿 コミック「機動戦士ガンダム アグレッサー20巻」(小学館)
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 アニメ『機動戦士ガンダム』には、少々尖った見た目をしたメカも登場する。とくにモビルアーマーには、「アッザム」や「ザクレロ」といったインパクト抜群の機体もあり、その姿を記憶している人も多いのではないだろうか。

 そして『ガンダム』は人気作品ゆえに派生作品も多く、なかにはアニメに登場したメカをも上回る個性的な機体も登場。思わず「どうしてこうなった?」と叫びたくなるような奇抜な機体も存在した。

 ここではテレビアニメには登場していないものの、マイナーながらも視覚的なインパクトが強烈だった一年戦争時の機体たちを振り返りたい。

■月面用の「玉ねぎ」型の機体って何者?

 まずは模型企画の「MSV」に設定だけ存在し、雑誌企画の「MSV-R」でデザインが起こされた「ルナタンク」から紹介したい。

 実はアニメ『機動戦士ガンダム』に登場した「アッザム」は、このルナタンクを重力下仕様に改修したもので、アッザムのベースとなった機体である。

 開戦当初ジオンは月面都市「グラナダ」に侵攻して占拠。そのグラナダ防衛のために開発されたのが、この「ルナ(月)」+「タンク(戦車)」なのだ。

 その姿は、まるで玉ねぎを模したような独特のフォルムで、機体上部に複数のアンテナがあり、球体部分にはニ連装の実弾砲8門と謎のソーラーパネルのようなパーツを装備。またジオンの機体らしく、ちゃんとモノアイが確認できる。そして機体下部には、キャタピラとロケットエンジンノズルを備えていた。

 通常時はキャタピラで月面を走行し、戦闘時になると機体下部のロケットエンジンで飛行可能。しかし、ルナタンクのキャタピラ移動の速度は時速30キロ程度で、あまりにも遅い(ちなみに現代の自衛隊の「10式戦車」でも時速70キロは出る)。

 月面の低重力下における運用前提なので飛行すればよいとも考えられるが、その飛行時間もそれほど長くないのが弱点だ。

 なにはともあれルナタンクは、ジオン公国軍のモビルアーマーの始祖的な存在であり、白い玉ねぎのような異様なフォルムは、その後の兵器開発史に大きく影響を与えた……のかもしれない。

■不採用機をニュータイプ用に改修?

 アニメ『機動戦士ガンダム』のなかでも、とびきりインパクトのある姿で目を引いたのがモビルアーマー「ザクレロ」だ。大きな目と口がある巨大な顔のような形状、そして両手には2本のヒートナタを備える超個性的な機体だ。

 アニメの32話に登場したザクレロは「実用テスト前に放棄された」機体ながら、ガンダムとガンタンク相手に善戦しつつも撃墜される。しかし、戦ったアムロには「こちらのコンピューターで簡単に動きが読めた」と言われてしまった。

 そんなザクレロを再利用し、ニュータイプ用の機体にカスタイマイズしたのがモビルアーマー「ブラレロ」だ。同機は「MSV-R」にて設定が判明し、ゲームの『SDガンダム ジージェネレーション ジェネシス』(バンダイナムコエンターテインメント)や人気コミック『機動戦士ガンダム アグレッサー』(小学館)などにも登場する。

 ブラレロとは、いわばサイコミュを搭載したザクレロのこと。試作モビルアーマー「ブラウ・ブロ」の有線式メガ粒子砲を小型化してザクレロに組み込んだ機体で、「ブラ(ウ・ブロ)+(ザク)レロ」でブラレロだ。

 ただでさえ尖った見た目のザクレロの後部に、ブラウ・ブロの有線式メガ粒子砲が取り付けられ、さらに奇怪なフォルムとなっている。

 また、そのやっつけぶりからは急遽開発されたことがうかがえる。『ジージェネレーション ジェネシス』によると、ブラレロはわずか1か月で完成に至り、ジオン公国軍の最終防衛拠点「ア・バオア・クー」に配備。ニュータイプパイロットの練習機として運用されたという。

 とはいえ正式採用されなかったザクレロは、ブラレロというかたちで一応日の目を見ることになり、ザクレロのパイロットだったデミトリー曹長も浮かばれることだろう……。

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