原作未登場なのに人気なのはなぜ? 『ドラゴンボール』 “伝説の超サイヤ人”「ブロリー」 の魅力に迫るの画像
映画『ドラゴンボール超 ブロリー』©バードスタジオ/集英社 ©「2018 ドラゴンボール超」製作委員会

 放送開始から意外な展開を見せ、盛り上がりを見せている新作アニメ『ドラゴンボールDAIMA』。老若男女すべての『ドラゴンボール』ファンが注目しているが、本作や原作漫画では登場していないのに、根強い人気を誇っているキャラクターがいる。それが、劇場版作品にて圧倒的存在感を放つ“伝説の超サイヤ人”・ブロリーだ。

 初登場からすでに30年以上経っているが、登場回数が少ないのにもかかわらずファン人気が高いのはなぜなのだろうか。今回は、そんなブロリーの魅力を登場作品を振り返りながら紹介していきたい。

■憎しみのままに立ちはだかる最凶の戦士

 ブロリーは、1993年に公開した映画『ドラゴンボールZ 燃え尽きろ!!熱戦・烈戦・超激戦』にて初めて登場した。

 惑星ベジータで主人公・孫悟空と同じ日に生まれたブロリーは、生まれたばかりでありながら戦闘力が1万もあり、やがて王家の脅威になると危惧したベジータ王によって父・パラガスとともに瀕死の状態に追い込まれてしまう。

 しかし、フリーザが惑星ベジータを破壊した際、ブロリーが潜在能力を開放したことで逃げ延び、以降ベジータ親子への復讐心を抱き続けてきた。実際に作中でベジータと対峙した際には「お前だけは簡単には死なさんぞ」と、なぶり殺し宣言をしている。

 また、ブロリーは悟空に対しても深い憎しみを抱いていた。その理由が保育器に入っていた時に隣にいた悟空の泣き声がうるさすぎて泣かされていたからだというのだから、異様な執着心の持ち主であることがうかがえる。

 その証拠に、映画『ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない』でブロリーが再登場を果たした際には、悟空にそっくりな悟天の泣き声によって氷漬けの状態から7年ぶりに覚醒しているのだ。

 とにかく悟空に対する憎しみが尋常ではないブロリーは、物語の随所で「カカロットォーー!!」と絶叫しており、『ドラゴンボール』を代表する復讐鬼として視聴者に強烈な印象を残したのである。

■絶望の様子しか描写されない劇場版作品

 1993年に登場して以来いまだにブロリーがファンの間で人気なのは、やはりその驚異的な強さにあるだろう。

 力の暴走を恐れたパラガスにコントロール装置を着けられているため、普段は全く覇気がなく弱々しい見た目をしているが、ひとたび超サイヤ人に変身すると、その筋肉は数倍に膨れ上がり、残虐性をむき出しにして悪魔の如く襲い掛かってくるのだ。

 超サイヤ人状態でも「気が高まる……。溢れる……!!」と、無尽蔵のタフネスを見せるほか、飛び上がるだけで崖が崩れたり、悟空を殴りながら崖を掘り進めたりなど、戦闘においては圧倒的。また『ドラゴンボール』らしいド派手な演出ばかりなのにもロマンを感じてしまう。

 ちなみに、ブロリーは『ドラゴンボールZ 燃え尽きろ!!熱戦・烈戦・超激戦』において、およそ70分の上映時間のうち、67分ごろまでいっさいのダメージを負っていない。“さすが伝説の超サイヤ人だ”と思えるような屈強さを見せつけるのだ。

 極めつけはパラガスを殺害したあとに放った「この俺が星の爆発くらいで死ぬと思っているのか?」というセリフだろう。筆者は子どもの頃に本作を視聴したのだが、彼の強さを象徴するようなこのセリフや立ち回りを見てファンになってしまった瞬間でもある。

 名シーンばかりで語るに足りないブロリーの戦闘力だが、『ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない』では、悟空・悟飯・悟天の親子3人によるかめはめ波で太陽まで吹き飛ばされ、消滅してしまう。

 本作でも終了間際まで暴虐の限りを尽くしているが、最後は劇場版にしか登場しないブロリーの儚さが描かれているようで、唯一無二の魅力を感じずにはいられない。

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