鳥山明さんによる『ドラゴンボール』(集英社)は、現在フジテレビ系列で『ドラゴンボールDAIMA』が放送中だ。『ドラゴンボール』シリーズの完全新作アニメというのもあって、ファンから注目を集めている。
『ドラゴンボール』といえばバトル描写に目が行きがちだが、いろんな所にギャグやメタ発言が見られることでも有名である。
メタ発言とは登場人物が、その世界では本来知りえないはずの、作者や読者視点での発言をすること。出てくるとシュールさがプラスされ、不意を突かれるのもあって思わずクスリとしてしまう。今回はそんな『ドラゴンボール』に出てくるメタ発言を紹介していこう。
■クリリンに鼻がないことへの指摘
まず本作で特に有名なメタ発言から見ていこう。悟空やクリリンが初参加となる天下一武道会で、悟空の口から飛び出したものである。
クリリンが初戦で戦った相手はバクテリアンという選手で、生まれて一度も風呂に入ったことがない不潔な巨漢だ。彼は悪臭と怪力を武器にして、相手が匂いで怯んでいる隙に押さえつけて倒すという戦闘スタイルをとっている。
クリリンもその悪臭から逃れられず、試合が開始すると足が止まってしまう。さらにすかしっ屁を食らって足蹴りされたことで敗戦が濃厚となった……。しかしその時、悟空が「臭いのは気のせいだっ!!におうわけないだろっ!!」「おまえには鼻がないじゃないかっ!!!」と叫ぶ。
確かにクリリンをよく見てみると鼻は描かれていない。しかし、それはあくまでも絵的なことで実際に機能しているかどうかは別だろう……。
ところがクリリンはそんな悟空のアドバイスを真剣に受け止め、「そっ そうか!!」と気付くと匂いを気にせずバクテリアンを圧倒して勝利する。
そんな流れになってしまったので、クリリンは「鼻が無いキャラ」として定着してしまった。鼻が無いのは生きていく上でいろいろ不便じゃないのか?と、つい心配したものだ。
■ジャンプへの配慮?
続いて紹介するのはピラフ一味のやり取りである。悟空たちはピラフたちにドラゴンボールを奪われ、そのアジトに侵入するもあっさりと閉じ込められてしまった。
そんな中、ピラフと会話をしていたマイがさりげなく木の棒についたウンチを持っているのを見て、ピラフは注意する。マイの言動を「品のないギャグ」と否定したうえで、今のジャンプは発行部数を伸ばしているからくれぐれもなさけない行動はするな、と……。
マイの取った行動は明らかに『ドラゴンボール』の前作である『Dr.スランプ』のアラレちゃんだ。それを自虐チックにセルフパロディしてしまうのだからスゴい。
そんなアラレちゃんはレッドリボン軍編に登場して大活躍。この2作のコラボはファンとしては嬉しい描写だった。