■当時の読者に衝撃を与えた死亡シーンは?
各キャラクターの死亡シーンは物語に大きな衝撃を与え、その後の展開を一層盛り上げる要素となった。ここまで紹介してきた死亡シーンもかなりインパクトがあるが『ドラゴンボール』には、まだまだ印象に残る死亡シーンが多い。
まず外せないのがピッコロだ。ピッコロの死亡シーンは1回だけ、ナッパの攻撃から悟飯をかばって命を落とした場面である。死ぬ前に「きさまといた数か月……わ…わるく…なかったぜ……」と、涙を流しながらピッコロが御飯に語りかけるこのシーンは『ドラゴンボール』のなかでも泣けるシーンとして有名だ。
そして悟空の師匠である亀仙人の死亡シーンも衝撃的だった。亀仙人はピッコロ大魔王を封印するために、唯一勝利の可能性がある技“魔封波”を使用するが、失敗して命を落としてしまう。
普段はちょっとエッチでお茶目な老人というイメージだが、実戦では悟空やクリリンを導く頼れる師匠としてカッコ良さを見せていた。そんな亀仙人がピッコロ大魔王に敗れ力尽きるシーンは、当時の読者に大きな絶望感を与えた。
さらに、天津飯の死亡シーンもまた衝撃的な瞬間だった。天津飯は圧倒的な力を持つナッパとの戦いで左腕を失う。それでも餃子の自爆を目の当たりにして残された力を振り絞り“気功砲”を放つが、ナッパには通用せず力尽きてしまうのだ。
この腕が切断される描写は、当時の『ドラゴンボール』ではとくにショッキングなものだった。それまで高い実力者とされていた天津飯があっさり敗北し死亡する場面に、大きく動揺した読者は多いだろう。
このように『ドラゴンボール』では主要キャラクターが何度も死亡し、復活を繰り返している。神龍の力で死亡したキャラクターを蘇らせるというアイデアは、当時としては非常に画期的だったように思う。“もっと生きていてほしかった”と願ったキャラが再び作中で元気に活躍してくれるのは、ファンの一人として大きな喜びだった。
2024年10月11日から放送が開始された、新アニメ『ドラゴンボールDAIMA』も話題の本作。初回から神龍も登場し、悟空をはじめとした戦士たちを幼い姿に変えてしまっていたが、今後どんな展開が待ち受けているのだろうか。楽しみに視聴したい。