■何周も見返してしまうセットに隠された無数の小ネタの数々

 キャラクターの再現度の高さは前述した通りだが、その世界観を構築するセットの忠実さにも目を見張るものがあった。

 ルフィらが乗る「ゴーイング・メリー号」をはじめとするそれぞれの海賊船や、訪れる街の建物、内部の装飾に至るまでまさに原作通りのセットを一話ごとに用意していた本作。

 公式から公開された映像では、サンジと出会う海上レストラン「バラティエ」を建設している様子が見られたが、もはや一つのテーマパークのように壮大で、眺めているだけでもワクワクしてしまうほどの再現度となっている。

 こうした巨大なセットで世界観に引き込まれたかと思えば、映像を止めないとわからないような一瞬のシーンにも、『ONE PIECE』に関連する小ネタが無数に散りばめられていたのである。

 たとえば、第1話で訪れたシェルズタウンに貼りだされていた海賊たちの手配書。シーズン1で登場するバギー以外にもベラミーやフォクシーの手配書が映し出される中、よく見てみるとジャンゴやキャベンディッシュの手配書が貼りだされているのだ。

 さらに細かな部分で言えば、第1話冒頭で映し出される海図には、原作に登場する島々や海牛モームや海王類が細かに描かれている。ほかにも、ウイスキーピークのお酒や、シャボンディ諸島と思われる絵、うそつきノーランドの本、ベリー通貨のデザインなどなど、画面に移るすべての物がワンピースに関連しているといっても過言ではない徹底ぶりなのだ。

 画面狭しと視聴者を楽しませてくれたシーズン1を踏まえて、シーズン2ではどれほどの小ネタを隠してくれるのか。ここまでくると頑張りすぎにも思える製作陣を心配してしまうが、やはりファンとしてはその期待を抑えることはできない。

 

 配信前は、未知の部分も多かった実写版『ONE PIECE』だが、原作の展開を無理に忠実に再現するのではなく、実写ドラマならではの温度感で間延びしないように描かれていた。

 漫画との棲み分けをはっきりさせることで、独立したドラマシリーズとしての『ONE PIECE』を確立させたといえるだろう。

 原作でも名シーンとされるルフィの処刑シーンやチョッパーの旅立ちのシーンなど、盛り上がりが増していく物語をシーズン2でどのように表現するのか、今から期待が高まるばかりだ。

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