子どもの頃、小学館の『小学◯年生』という学年別学習雑誌を読んだことがあるだろうか? 昭和生まれの筆者はよくその雑誌を買ってもらい、そこに掲載されている『ドラえもん』や『あさりちゃん』などの漫画を楽しんでいた。
数々の人気漫画を生み出した本作だが、掲載されている漫画はそのほかにもある。なかでも、「ムチャ〜!」の声でお馴染みの、太ったウサギが主人公のギャグ漫画『パンク・ポンク』を覚えている人は多いだろう。
今回は、80年代に人気を博した短編漫画『パンク・ポンク』を振り返ってみたい。
■『パンク・ポンク』って? 小学生雑誌などで長期に渡り人気を博した漫画
たちいりハルコ氏によって描かれた『パンク・ポンク』は、1976〜94年にわたって、小学館の学年別学習雑誌などに掲載されていた。連載総期間はなんと約15年にも及び、1983年には小学館漫画賞:児童向け部門を受賞している作品だ。
あらすじはこうだ。小学生の女の子・ボニーちゃんは、ある日ペットショップのカタログを見て可愛らしい「パンク」というウサギを注文する。しかしボニーの家に届いたウサギはボニーを持ち上げられるほど巨大で、人間の言葉も話せる不思議なウサギだった。
そんなパンクと一緒に暮らし始めたボニーの毎日には、常識外れのハプニングが次々と巻き起こる。笑いあり、急展開ありの、ハチャメチャな日常を描いたコメディ作品だ。
『パンク・ポンク』は可愛らしいビジュアルもあってギャグ漫画のなかでは、とくに女児に人気のあった作品のように思う。学年別学習雑誌に掲載されていたこともあり、雑誌では『パンク・ポンク』をモチーフにしたふろくなども付いていた。
70年〜80年代初頭は『おはよう! スパンク』といった作品も人気を博していたが、人間のような生活をしたり話したりする動物キャラが人気だったのだろう。
■読みやすいショート作品、ちょっと下品なネタもウケた
『パンク・ポンク』は、可愛らしい絵柄も特徴だ。そのキュートな絵柄だけを見ると、一見、ボニーちゃんを中心とした清純派少女漫画にも見える。しかし、内容はしっかりギャグ漫画であった。
たとえば、てんとう虫コミックス1巻に掲載されている「ボニーちゃんのワンピース」では、体の大きなパンクがボニーのワンピースを無理やり着て破いてしまう。その服を明日のデートで着たいというボニーに、パンクは紙に描いたワンピースを鏡に貼ってごまかす。そこにボーイフレンドのマークが現われ、ボニーは何も着ないまま素っ裸でマークの前に登場してしまうのだ。
また5巻に登場する「ボニーのさいなん」では、朝起きないボニーに対し、パンクがジャンプして馬乗りになって起こす。そのショックでボニーは気絶。パンクはボニーが気を失っているのを周囲に気づかれないよう、腹話術のように操ったり、自分がボニーになりきったりするのだ。
このほかにもパンクが盛大にお漏らしをしたり、おならをしたりと、あんまり上品ではないエピソードも多い。しかしそのような内容は当時の小学生に大ウケであり、単行本をおこづかいで買っている同級生も多かった。
また『パンク・ポンク』は1話が4ページほどしかない短編だ。宿題の合間など、子どもがちょっとひと休みしたいときに読むのにもピッタリの漫画であった。