『ウルトラマン』シリーズのなかでも異色の存在として、今年で放送開始から45周年を迎える『ザ☆ウルトラマン』を挙げる人も多いのではないでしょうか。実写特撮で知られる『ウルトラマン』シリーズにとって初めてのテレビアニメ作品として、ファンに大きな衝撃を与えた作品です。
そして10月4日から、その『ザ☆ウルトラマン』のHDリマスター版の放送がTOKYO MXでスタートしました。令和の時代によみがえった『ザ☆ウルトラマン』とは、いったいどのような作品だったのか、あらためて振り返ってみたいと思います。
■サンライズなのにタツノコっぽい? 『ザ☆ウルトラマン』
『ザ☆ウルトラマン』は1979年4月から放送がスタートした作品で、『ウルトラマン』シリーズ初となるアニメ作品です。ウルトラマンといえば「特撮作品」の代名詞ですから、「ウルトラマンだけどなんか違う?」「でもウルトラマンだなぁ」と、当時は不思議な気持ちになったものです。
アニメ制作は日本サンライズ(現:サンライズ)が担当。監督は鳥海永行氏(途中から神田武幸氏に)、キャラクターデザインは二宮常雄氏と、両者とも『科学忍者体ガッチャマン』や『破裏拳ポリマー』、『宇宙の騎士テッカマン』などで活躍された方なので、「日本サンライズ制作なのにタツノコアニメ」の雰囲気を感じる不思議な作品です。
さらにメカニックデザインには大河原邦男氏と河森正治氏、最終回4部作には富野由悠季氏や髙橋良輔氏が別名義で参加するなど、今思えば超豪華なスタッフが携わったアニメ作品でもありました。
■ウルトラマンで描かれた壮大なスペースオペラ!
同作に登場するウルトラマンは、科学警備隊のメンバーや地球の人々から「ウルトラマン」と呼ばれますが、「ウルトラマンジョーニアス」という名前があります。ジョーニアスは地球から200万光年離れた惑星「U40(ユーフォ―ティー)」出身のウルトラ人で、科学警備隊の「ヒカリ超一郎」と一体化して地球で戦うことになります。
ウルトラ人は高い倫理観と超科学を持ち、10億年前に全宇宙に子孫を増やし、文化を発展させるという実験を行います。そのひとつが地球であり、実は地球文明の父ともいえるスケールの大きな真実が明かされるのです。
そして同作では『スターウォーズ』のデス・スターのような人工天体が登場したり、宇宙征服をもくろむ帝国との艦隊決戦が描かれたりと、SF色の強い展開が詰まっています。こうした内容は、それまでの『ウルトラマン』作品にはなかった大きな魅力です。