「ガンダム史の闇…?」GPシリーズにTRシリーズ、そして最新作のガンダムEXまで!? “存在を抹消”された「悲しき機体」たちの画像
「HGUC 1/144 ガンダムGP02A サイサリス」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

『ガンダム』シリーズの歴史のなかには、輝かしい活躍を見せて後世に讃えられる機体がある。そういった機体はコンセプトを受け継いだ後継機が開発され、その系譜が脈々と続いていくことも多い。

 しかしその一方で、過酷な戦場に投入されて活躍しながら、なぜか歴史から抹消されてしまった機体も存在する。こういう機体は、直系の後継機を残すことはできなくても、ファンの心にはしっかりと刻みこまれるケースもある。

 そこで今回は、何らかの事情によってガンダムの歴史から葬り去られた、あまりに切ない機体たちを紹介しよう。

■戦後に抹消された機体の代表格「GPシリーズ」

 まず紹介したいのは、"ガンダム開発計画"というプロジェクトで開発された「GPシリーズ」の機体だ。ガンダム開発計画は、一年戦争時に大きな戦果をあげて伝説となった“ガンダム”の発展機を生み出すことを目指し、連邦から委託されたアナハイム・エレクトロニクス社が極秘裏に進めたものである。

 GPシリーズとして開発された機体は、初代ガンダムから3年後の世界を描いたOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場する。

 劇中では、主人公のコウ・ウラキが搭乗したガンダム試作1号機(ゼフィランサス)や試作3号機(デンドロビウム)、デラーズ・フリートのアナベル・ガトーに奪われた試作2号機(サイサリス)、「ガーベラ・テトラ」としてシーマ艦隊に譲渡された試作4号機(ガーベラ)などの活躍が描かれた。

 しかし、同計画の内容はデラーズ・フリートに漏れており、試作2号機を強奪されたことをきっかけに「デラーズ紛争」に発展したことや、その試作2号機が核武装していたことなどの発覚を恐れた連邦上層部が計画を凍結。その結果、開発されたGPシリーズの機体や、それに類するデータはすべて抹消された。

 こうして闇に葬られたGPシリーズだが、「全天周囲モニター」や「ムーバブル・フレーム」の原型となった技術だけは、かろうじて次世代に活かされている。

■ティターンズによって隠蔽された開発計画「TR計画」

 続いては、『機動戦士Zガンダム』の外伝的な位置づけになるメディアミックス作品『ADVANCE OF Z』シリーズに登場する「TR計画」で開発された機体たちだ。

 同計画は、ティターンズによる次期主力機や大型決戦兵器などの開発計画であり、作られた「TRシリーズ」の機体は、技術試験部隊である「ティターンズ・テスト・チーム(通称:T3部隊)」が運用試験を行った。

 TR計画ではさまざまな試験機が開発され、その集大成ともいえるのが可変モビルスーツ「ガンダムTR-6[ウーンドウォート]」だ。そのガンダムTR-6は、グリプス戦役の終盤にティターンズ上層部から実戦投入を命じられる。

 だが、ティターンズが敗色濃厚の状況で新たなガンダムを投入するのは、戦火を拡大させる恐れがあるとして、T3部隊の司令官オットー・ペデルセンは、独断でTR-6の破壊を命じた。

 そして「TR計画」の全データを保有していたT3部隊の母艦「アスワン」も撃沈されたことで、開発にまつわるデータも永遠に失われる結果となる。

 グリプス戦役後、ティターンズは「TR計画」によるガンダム開発の事実を隠蔽。こうしてTRシリーズは闇に消え、GPシリーズと同様に「ガンダム神話」が生んだ悲劇の機体となったのである。

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