アニメや漫画、映画などの作品で、思い入れのあるキャラが死んでしまい、悲しみに暮れた経験はないだろうか。魅力的なキャラクターが迎える劇的なラストは、ずっと忘れられないものだ。
しかし、戦争を背景に描かれた『ガンダム』シリーズでは、主要キャラのはずなのに、あまりにあっけない最期を遂げるケースもある。なかには、どのように死んだのか視聴者が理解できないほど、あっさり死ぬ場合もあるのだ。
そこで今回は、『ガンダム』作品の劇中で存在感を放ちながら、意外なほどあっさり退場したキャラクターを振り返ってみよう。
■伝説のホワイトベースのメンバーが迎えた「まさかの最期」
まず最初に紹介するのは、『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』と2作品に続けて登場した「カツ・コバヤシ」だ。
初代ガンダムの頃のカツは、まだ8歳の幼い子どもで、レツやキッカと一緒にホワイトベースに乗りこみ、艦のマスコット的な存在として愛された。そして最終決戦後、崩壊するア・バオア・クーに取り残されたアムロ・レイに、レツやキッカたちと心の声で呼びかけ、みんなのもとへと誘導している。
そして『機動戦士Zガンダム』では15歳に成長し、フラウ・ボゥと結婚したハヤト・コバヤシの養子となった。思春期を迎えたカツは、少々勝ち気で感情的になりやすい性格が目立ったが、あいかわらずホワイトベースのクルーたちと親交があり、愛された存在だった。
そんなカツは、主人公のカミーユ・ビダンが所属するエゥーゴのパイロットとして活躍。ニュータイプとしての素養を持ち、ガンダムMk-IIのサポートメカ「Gディフェンサー」の専任パイロットとなる。
しかし、カツの最期はあまりにも唐突に訪れる。ヤザン・ゲーブル率いるハンブラビの部隊と交戦中、カツはGディフェンサーをエマ・シーンのガンダムMkーIIとドッキングさせる。そのままカツはコア・ファイターで離脱するかと思ったが、エマの退避勧告を無視して戦闘を継続した。
ヤザンの攻撃を回避したカツは「そんな弾に当たるもんか!」と自信満々で発言するが、その瞬間によそ見をしたため、前方にあった隕石に機体ごと衝突。これで操縦不能に陥ったカツの機体にヤザンの攻撃が命中すると、そのまま戦艦の残骸に激突してコア・ファイターは爆散した。
カツは伝説となったホワイトベースに乗艦していたメンバーであり、次世代を担うニュータイプのひとりと思っていただけに、おもな死因が「前方不注意による事故」という点に切ないものを感じてしまう。
■主人公の因縁の相手とは思えぬ、あっけない幕切れ
次に紹介するのは『機動戦士Zガンダム』に登場する「ジェリド・メサ」だ。彼は第1話「黒いガンダム」から登場し、主人公のカミーユにとって因縁の相手とも呼べる存在である。
ジェリドは連邦軍のエリート部隊「ティターンズ」の一員であり、たまたま出会ったカミーユの名前をからかったことで確執が生まれる。そして、これをきっかけにカミーユは戦火に身を投じることになった。
その後、ジェリドとカミーユは幾度となく戦場で激突する関係に。いつかふたりの因縁に終止符を打つ、壮絶な決戦が行われるものと思われた。
しかし、第1話から続いたふたりの因縁は、あまりにも意外な結末を迎える。
最終決戦でバウンド・ドックに搭乗したジェリドは、カミーユのZガンダムに襲いかかる。だが、カミーユは親交の深いヘンケン艦長の死のほうに意識が向いていた。
ここから熾烈な戦いが始まるかと思いきや、Zガンダムのビーム・ライフルがあっさりジェリドのバウンド・ドックに命中。そのまま機体は後方に吹き飛んでいき、轟沈する戦艦ラーディッシュの爆発に巻き込まれるかたちでジェリドは戦死した。
第1話から因縁の深いライバルとは思えない、想像以上にあっけない散りざまに衝撃を受けた人も多いのではないだろうか。