漫画やアニメ、ゲームに登場する美少女たちはその可憐な姿で作品に華を添えてくれる存在だが、なかには作中の思い切った“イメチェン”によってがらりと雰囲気を変えたキャラクターも少なくはない。今回は、さまざまな理由から新たなスタイルを披露した、美少女キャラクターたちについて見ていこう。
■唐突なイメチェンに隠された意外な制作秘話…『らんま1/2』天道あかね
高橋留美子さんといえば多種多様なラブコメ作品を手掛ける人気漫画家だが、なかでも“格闘バトルもの”の要素をふんだんに取り入れた作品といえば、1987年から『週刊少年サンデー』(小学館)で連載された『らんま1/2』だろう。
水をかぶると女になってしまう格闘家の高校生・早乙女乱馬を主人公とした本作。ヒロインの天道あかねこそ、作品序盤でイメチェンをしたキャラクターである。
乱馬の許婚であり、作中を通してメインヒロインとして活躍するあかねだが、物語開始当初は長い黒髪にリボンというスタイルであった。幼少期は髪を短くしていたが、初恋相手・小乃東風への想いと、姉・天道かすみへの憧れから髪を伸ばしていたのである。
そんな彼女だが、乱馬と響良牙の戦いに巻き込まれ、そのさなかに伸ばしていた黒髪をバッサリと切り落とされてしまう。
いわば突発的な事故によってロングヘアを失ってしまうのだが、これをきっかけに気持ちを切り替え、以降はショートボブスタイルを披露するようになった。
物語序盤から思いがけないイメチェンを披露したあかねだが、実はこれ、作者である高橋さんが連載中にあかねを描きづらいと判断したことから路線変更をおこなった影響だったようだ。
連載中に発生した想定外の出来事だったのだが、一方でその断髪までの流れが実に自然であることにも驚かされてしまう。ショートヘアになってもなお魅力的なあかねの姿からも、作者のキャラクター造形の妙を感じざるをえない。
■したたかに活躍し続ける世界チャンピオンの一人娘…『ドラゴンボール』ビーデル
ジャンプ作品には数々の人気バトル漫画が登場してるが、なかでもその凄まじい人気から数々の伝説を築き上げているのが、1984年から連載された鳥山明さんの『ドラゴンボール』だろう。
いまもなお新たなアニメ、映画が展開され続けている本作だが、ヒロインの一人として活躍するビーデルこそ、作中で大きなイメチェンを披露したキャラクターだ。
世界チャンピオン、ミスター・サタンの娘として登場したビーデルは、父親の影響から格闘技に精通しており、登場当初から街にはびこる悪党を自らの手で叩き伏せる破天荒な活躍を見せていた。
そんな彼女だが、オレンジスターハイスクールの同級生である孫悟飯と恋仲になることでも有名だ。作中では悟飯とともに修業をするビーデルの姿も描かれているが、そのなかで悟飯が放ったとある一言が、彼女がイメチェンをするきっかけとなっている。
ビーデルに“舞空術”を教えていた悟飯。唐突に彼女に対し「ビ…ビーデルさんの髪の毛だけど… …もっと短くしたほうがいいとおもうよ…」と提案する。悟飯が“ショートヘアのほうが好み”なのだと思って頬を赤らめるビーデルだったが、悟飯はあくまで「試合するんだったら短かいほうが有利だとおもってさ…」と、なんとも味気ない理由を告げるのだ。
勘違いしてしまったことが恥ずかしくなったビーデルは「うるさいわね ほっといてよ!!!」と思わず怒鳴ってしまうのだが、翌朝には悟飯が言った通り髪をバッサリと切り、ショートヘア姿を披露している。
これまでの長髪から一変、ボーイッシュな髪型になったことで彼女が持つ力強いキャラクター性がより強調されることとなった。ビーデルの新たなスタイルはもちろん、彼女と悟飯との間に交わされる微笑ましいやり取りにも心温まるエピソードである。