鳥山明さんによる『ドラゴンボール』(集英社)は、バトル漫画の金字塔で多くのファンに愛されている。特にバトルシーンは、息をするのも忘れるくらいに見入ってしまうほどの迫力だ。
そして、本作をバトル漫画として定着させるきっかけとなったのが、天下一武道会だろう。主人公の孫悟空の強さはもちろんだが、大会には他にもいろいろな武術を使う格闘家が登場するので、どのような戦いになるのか見ものになっている。
そこで今回は天下一武道会を振り返り、悟空以外の仲間たちの戦いに注目して、ベストバウトと言うべき試合を振り返っていきたい。
■亀仙人の圧倒的な実力…ヤムチャVSジャッキー・チュン
まずは、悟空やクリリンが初参加を果たした第21回天下一武道会。ヤムチャとジャッキー・チュンこと亀仙人との戦いは、いろいろな意味で新鮮だったと思う。
これまでは亀仙人の実力を見られなかったので、初お披露目のようなものでもある。ヤムチャも正統派の武道家なので、実力を図るには十分な相手だ。
しかし、試合が始まるとヤムチャの攻撃はすべてかわされ、必殺技である「狼牙風風拳」を使うことに……。しかし、それもあっさりとかわされると、逆に手刀から繰り出される「さわやかな風」によって吹き飛ばされ場外負けしてしまった。
この戦いによって、亀仙人がいかにスゴい武道家かが改めて分かった。また作中での天下一武道会の歴史はここから始まったとも言えるだろう。
■切り札を「気合い」だけでかき消す…!?天津飯VS桃白白
次はピッコロ(マジュニア)が初参加となる第23回天下一武道会での対戦だ。ここで注目したいのが、天津飯と桃白白の師弟対決のような展開である。
桃白白は世界一の殺し屋で、天津飯が師事した鶴仙人の弟でもある。悪事を働いたすえに死んだと思われていたが、なんと生きていたから驚いた人も多いはずだ。しかも彼は肉体改造をして、以前よりもパワーアップして帰ってきた。
桃白白は試合開始前に「あっさりとかたづけてやろう…」と天津飯を煽るほどなので、どれほどの強さなのかと期待してしまう。しかし、試合が開始されると桃白白は天津飯の動きについていけなかった。天津飯も「ぶざまな負けかたをさせたくありません… 退場してください…」と戦いを終わらせようとしたが、諦めの悪い桃白白は仕込み刀で天津飯を斬りつける。
これには審判も反則を言い渡すが、桃白白にはそんなことは関係ない。そんな桃白白を見た天津飯は、挑発して力で叩き潰そうと決める。
そして、桃白白の切り札である「スーパーどどん波」が炸裂したが、天津飯は気合いだけでそれをかき消し、桃白白を気絶させて試合を終わらせてしまった。圧倒的な実力差を見せつけての勝利といえる。
天津飯の新たな強さと桃白白の復活劇を見られたこの試合は、見ごたえのある一戦だった。