■ブルマに振り回されながらも温かく見守る
当初、ヤムチャはブルマと良い感じの関係になっていたが、最終的に彼女はベジータと結ばれてしまった。しかし、それはヤムチャに何か落ち度があったというわけではない。
ブルマはかなり自由奔放で移り変わりの激しい性格であり、ヤムチャはそれに振り回されていたからだ。ヤムチャにも浮気性といった欠点はあったが、それはお互い様だし、結局のところヤムチャのほうはなんだかんだブルマにベタぼれだった印象もある。
しかも、ベジータとブルマが結婚したことで両者の関係が悪くなったかというと、それもない。どちらかというと温かく見守っている感じだ。旦那がベジータなら、そうなるしかないといえばそうかもしれないが……。
同志たちが次々と結婚する中、ヤムチャは独身を貫いている。もともとはモテ男だけに、そこには彼なりの美学があるのかもしれない。
■一線から身を引いて仲間を称える
最後は、ヤムチャの身の引き方について見ていきたい。ヤムチャは人造人間との戦い以降、戦闘に参加することはほとんどなくなった。それは、自分の実力が周りと比べて劣ると分かっていたからこそだろう。
しかし彼はだからといって腐るわけではなく、仲間の応援をし続けていた。魔人ブウ編での天下一武道会では、プンターと対決するクリリンを心配するマーロンを気遣い、「へいき へいき!」「おとうさんは世界でいちばん強いんだ!地球人の中じゃね…」と励ましている。
サイヤ人など宇宙人が活躍する中で、クリリンは地球人にとって希望の星のような存在だ。そのため読者の応援する気持ちも強く、ヤムチャがそれを代弁してくれたともいえる。
戦うことや強くなることをやめたヤムチャは、穏やかすぎて仏のように見えてしまう。将来は、亀仙人の存在のようになるのかもしれない。ヤムチャが、サイヤ人に負けない地球人の後継者を育てられたら、それはそれで面白いだろう。
ヤムチャは作中で、少しずつ味が出て良いキャラになっていったと思う。周りを激励して優しく包む懐の大きさには、どこかほっこりとさせられる。
そんなヤムチャが結婚して、家庭を築く姿も見てみたい気がする……。きっと彼なら良い夫やお父さんになるはずだ。