2週連続『金曜ロードショー』での放送が予定されているジブリ作品。今回は23日に『となりのトトロ』、30日に『天空の城ラピュタ』と、子どもから大人まで幅広い世代に愛される名作が登場予定だ。
今回はそんなジブリ作品にスポットライトを当て、子どものころに見て鮮烈に記憶に残っている“トラウマ級”のシーンをご紹介しよう。
■ドロドロと溶け出す肉体と低い声が恐怖をあおる…『もののけ姫』冒頭のタタリ神
神が住む森と、人間たちとの共存を描いた作品『もののけ姫』(1997年公開)。シシ神をめぐる争いも迫力があり、子どもながらにハラハラしながら映画館で見たことをいまでも覚えている。
本作の“トラウマ級”シーンはたくさんあるが、今回ご紹介したいのは冒頭のシーンだ。主人公のアシタカがタタリ神から呪いをもらう重要なシーンなのだが、このタタリ神の登場がすでに怖すぎる。
ガサガサと音が鳴る森から大きな音を立てて走り込んでくるタタリ神。ウネウネと動くイモムシのようなものを体中にまとい、クモのような姿で素早く動く。その姿の異様さはジブリ屈指の怖さだろう。
とくに印象的だったのが、このタタリ神がアシタカの矢を受け、朽ちていくシーンだ。もとは猪神のナゴの守だったタタリ神。高貴な存在の彼は、人間に恨み言を吐きながらドロドロと体を溶かしていく。
地面がうねるような低音でタタリ神が人間に吐き捨てる言葉が、耳に残って離れない。そして、画面からも激臭が伝わりそうなほどに、肉体が朽ちていく描写は壮絶だった。
冒頭から衝撃的すぎて、いまだにタタリ神のシーンではゾクゾクしてしまう……。
■不思議な世界でたった一人になってしまう孤独感『千と千尋の神隠し』豚になってしまう両親
10歳の少女・千尋が不思議な世界へと足を踏み入れてしまう『千と千尋の神隠し』(2001年公開)。
幼い少女が神々が集う世界で、湯屋「油屋」の従業員としてさまざまな経験をしていく本作は、壮大な冒険ものとしても楽しめる作品だ。
登場するキャラのなかには、神様をはじめ、ススワタリや坊ネズミのようにかわいらしいキャラもおり、時折ほっこりとするシーンもあって子どもでも楽しめる。
そんな本作で紹介したいのが、千尋が両親とともに不思議な世界へ足を踏み入れたあとのシーンだ。
両親は美味しそうな匂いにつられて、神様が食べるはずの食事に手をつけてしまう。無我夢中で料理をむさぼる両親。千尋はその異常な姿に恐れを抱く。そして、千尋が再び両親がいた飲食店に戻ったとき、見慣れた彼らの姿はそこにはなかった。
文字通り、豚になって食事に食らいつく両親……。もはや千尋の言葉も理解できなくなっており、店の主人にムチで打たれるシーンも描かれていた。
豚になってしまうだけでは“トラウマ級”と並べるには弱い気もするが、よく考えると見知らぬ土地で迷子になり、もとの世界へも帰れず、頼れるはずの両親が豚になってしまうなんて、なんとも恐ろしい出来事ではないだろうか。
千尋はまだ10歳。1人で物事を判断するにはまだまだ幼い年齢だ。頼みの綱の両親が人間の言葉もわからない豚と化し、底知れぬ孤独感と恐怖を抱いたことだろう。その後もいろいろな出来事に巻き込まれていく千尋だが、彼女の立場に立ってみると、やはりこれが“トラウマ級”に恐ろしかったシーンではないかと思う。