■やっぱり世界のヒーローといえば…地球上の元気を集めたミスター・サタン

 最後は人類にとって最高のヒーローといえるミスター・サタンだ。強さがインフレ化していったフリーザ星編以降、一般人として世界チャンピオンに輝いていたのが彼である。

 人造人間・セル編での初登場時はただのお笑いキャラとして存在しており、セルゲームで果敢にやられた挙げ句仮病を使うなど、とことんヘタレっぷりを見せていた。

 しかし、根はいいヤツで、首だけになった人造人間16号の頼みを聞いて悟飯が覚醒するきっかけを作る。この結果、セルは爆死し地球は救われることに。そして、その場に居合わせたカメラマンとリポーターに自分がセルを倒したとアピールをしたことで、世界中を恐怖に陥れたセルを倒した英雄として崇められるようになるのだ。

 魔人ブウ編になると人類を滅亡させるがごとく破壊しまくるブウに対し、力ではなく心で接していくシーンが微笑ましかった。もちろん、最初は猛毒のチョコや爆弾ゲーム機をプレゼントするなどびっくりするくらいセコイのだが……。しかしこれがなぜかブウにウケてしまい、仲良くなってしまう。

 そしてサタンはブウに“人を殺さない、物を壊さない”という約束を取り付けるなど、悟空やベジータでは到底できない隠れた活躍を見せるのだ。その後、ドラゴンボールの世界では珍しい非情な2人組によって犬が銃撃され大激怒。

 しかしその2人組にサタンも銃撃されたことで、魔人ブウから純粋悪のブウが分離し、それまで仲良くしていたブウが吸収されてしまう。この純粋悪のブウは破壊の限りを尽くすのだが、心の底には思い出が残っていたのだろう。サタンだけは襲わなかった。

 そしてサタンは最後の戦いでもナイスプレーを見せている。悟空とベジータが全地球人から元気を集めて元気玉を準備しようとするも、どれだけ呼びかけても怪しがられてしまい、元気が集まらない。それを見て憤ったサタンが喝を入れると、知名度だけは世界一だけに「サーターン」のかけ声とともに一気に地球上の元気を集めることに成功するのだ。

 さらに瀕死のベジータを担ぎ、救い出す大活躍をも見せており、悟空にも「おめえはホントに世界の…救世主かもな!!!!」と言わしめている。

 事の顛末を知っていたピッコロが、サタンの娘・ビーデルに「おまえの父は誇り高い世界チャンピオンだ……」と語るシーンにも胸が熱くなったものだ。

 

『ドラゴンボール』はどんな登場人物にもスポットを当てて描かれているので、こういったサブキャラが思わぬ活躍を見せてくれるから面白い。もちろん、悟空たちがいないと世界は平和になっていないのだが、彼らの意外な活躍で地球や人類が救われたのは事実だろう。

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