『ジョジョ』広瀬康一も初登場時は「おぼえてもらう必要はない」だった? 「見た目はモブ」でも「のちに重要人物に」なったキャラたちの画像
アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』DVD第3巻より

 漫画やアニメには、存在感やカリスマ性のあるキャラクターが多く登場する。そんな華やかなキャラがいる一方で、いわゆる「モブ」と呼ばれるような、主要キャラに比べてキャラクターの描き込みも少なく描かれるようなキャラや、「絶対すぐに退場するだろう」と思われるような影の薄いキャラ、つい「ショボい」と感じてしまうキャラも多く存在する。

 これはひとえに、主人公格のキャラを目立たせるためでもあるのだろう。目立たないキャラを多く登場させるのは、演出上では仕方のないことなのだ。

 しかし中には、そのことを逆手にとってか、それとも作者すらも予想外なところでレギュラーキャラに昇格した、あるいは、のちのち重要人物になったキャラも少なくない。

 今回は初見で絶対にモブだと思われた「実は重要人物」なキャラたちを紹介したい。

■「本来ならぼくの役目はここまでで終わりだった…」その後の重要人物になった康一

 まずは荒木飛呂彦さんによる『ジョジョの奇妙な冒険』から。1992年から1995年まで 『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた第4部「ダイヤモンドは砕けない」の冒頭は、広瀬康一のモノローグから幕を開ける。

 康一は「ぼくの名まえはーー(まー…おぼえてもらう必要はないですけど)広瀬康一15さい…ぼくの場合は…受験の合格とこれから通う新しい学校への期待と不安で頭がいっぱいの3か月だった…」と語り始める。自分で「おぼえてもらう必要はない」と言っている上、このときの康一は顔立ちも薄く、オーラや存在感もない“モブ顔”だ。

『ジョジョ』では恰幅の良い主人公とは対照的な、まだ体の幼い少年キャラがたびたび登場する。この時点での康一も今後物語で重要な活躍をするようには思えず、例えるなら第1部「ファントムブラッド」に登場し、少しインパクトと名言を残した少年・ポコのような立ち位置に見えなくもない。

 この後、康一は4部の主人公・東方仗助と3部の主人公・空条承太郎が引き会った現場に遭遇し、「本来ならぼくの役目はここまでで終わりだった…」と言っているものの、その後はスタンド能力を覚醒させ、杜王町の事件を探るメインメンバーとして活躍。スタンドが引き合わせた数奇な運命に翻弄されることになる。

 第4部の物語が進むにつれて、康一の身長はどんどん小さくデフォルメされて描かれ、顔立ちもより子どもっぽくかわいらしいものになっていく。操るスタンド「エコーズ」は成長性Aで、最終的にはACT3まで成長する。スタンドは本来ひとり一体が鉄則だが、一体が変化し、その能力がそれぞれ異なるというのはかなりレアな例だ。

■名場面を生んだ泥門の頭脳派

 2002年から2009年まで同じく『週刊少年ジャンプ』で連載されていた原作:稲垣理一郎さん、作画:村田雄介さんによるアメリカンフットボール漫画『アイシールド21』にも、初登場時はモブとしか思えなかったキャラがいる。

 高校までずっと帰宅部でスポーツとは無縁だったが、高2にして一念発起しアメフト部に入部した泥門デビルバッツのメンバー・雪光学がそうだ。

 連載を重ねるごとに画風の変わっていく同作だが、彼の初登場時のモブ感は特に顕著。アイシールド21のアメフトに感動した彼が入部希望者として自己紹介するシーンでは、この後レギュラー部員になるとはとても思えない。唯一の特徴といえば、生まれたときから広いというおでこが光っているぐらいだ。

 運動神経こそないものの、彼の長所はずっと勉強づけの毎日で培ってきたその知性。入部後の雪光は長らく補欠だったが、関東大会初戦の神龍寺ナーガとの試合でデビュー。試合は劣勢だったものの雪光の初タッチダウンにより反撃のきっかけが生まれる。それまでの泥門に欠けていた“頭脳派攻撃”が成功し、チームになくてはならない存在となっていった。初登場時に、その後の大出世を予想できた読者はどれぐらいいるだろうか。

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