■水中での体当たりな演技にあの漫画家も大苦戦…『岸辺露伴は動かない』
1986年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が始まった荒木飛呂彦さんの『ジョジョの奇妙な冒険』は、特殊能力を用いたバトルとホラー、サスペンスの要素を組み合わせた大人気バトル漫画だ。
今もなお時代や舞台を変え連載が続いている作品だが、第4部に登場する漫画家・岸辺露伴を主人公にした短編シリーズ『岸辺露伴は動かない』が実写ドラマ化され、その再現度の高さや卓越したシナリオがファンをうならせている。
2024年5月に放送された最新エピソード「密漁海岸」。本作では、今回は伝説のアワビを求め、夜の海に“密漁”に赴く露伴の姿が描かれることとなった。
原作でも高い人気を誇るエピソードだったことに加え、『ジョジョ』第4部に登場するイタリア人のシェフ、トニオ・トラサルディーも登場するとあって、公開前からファンの間でも期待が寄せられていた。
密漁……というキーワードが指し示す通り、本作では海中でのシーンがかなり多く、ドラマ版では海岸と特設プールを活用し撮影がおこなわれた。
水中深く潜り、潜水状態で演技をしたあとに浮上する場面があるなど、今までの『岸辺露伴』シリーズとはひと味違うこの撮影現場。主演である高橋一生さんもかなり苦心したらしく、繰り返す潜水と浮上のため、ときには息ができなくなり気を失いかけてしまったこともあったのだとか。
岸辺露伴の担当編集・泉京香役の飯豊まりえさんはこの撮影をはたから見ていたそうだが、高橋さんの身体能力の高さや、撮影スタッフのチームワークに圧倒されたことを明かしている。
終始、水の存在に苦労させられた撮影現場だったようだが、それによって臨場感や芸術的とも呼べる独特のカットが完成した。俳優陣が体当たりで挑み再現した“奇妙”なエピソードは、原作ファン必見の出来となっている。
極寒の地で、熱波と砂埃にまみれながら、水中で……など、漫画原作の実写作品には、俳優陣やスタッフまでもたじろがせてしまう過酷な撮影環境がしばしば登場する。その過酷さを乗り越え描かれる“再現度”の高さに、原作ファンも思わず納得してしまうことだろう。